給与ややりがいを求めて定年後も働きたいと考える人が多いなか、「嘱託社員」は選択肢の一つとして注目されています。本記事では、嘱託社員として働くメリット、企業が嘱託社員を雇用するメリット、嘱託社員の待遇などについて解説します。
嘱託社員とは?
嘱託社員とは、有期雇用契約を企業と結んでいる非正規雇用社員のことです。一般的には、定年退職を迎えた労働者が有期で再雇用されること意味します。
嘱託社員として働くメリット
嘱託社員として働くメリットは以下の4つです。
今までと同じ職場で仕事を継続できる
嘱託社員は勤務先でそのまま継続して働くケースがほとんどです。今までと同じ職場で働けるため、環境変化に悩むことはほぼありません。これは大きなメリットの一つです。
知識や経験、スキルを活用できる
定年前に培った知識や経験、スキルの活用が可能です。会社の業績向上や若手社員の育成に貢献できる場合もあるため、やりがいを感じられるでしょう。
正社員時代よりプレッシャーが減る
嘱託社員は、役職がなくなるなど、正社員時代よりも責任が減ることが多いです。圧が多い正社員時代とは違い、嘱託社員はプレッシャーから開放されて働くことが可能です。
定年後も収入が得られる
定年後も収入源があるため、ある程度財政の安定を確保できます。嘱託社員はシニア世代にとって魅力的な選択肢の一つといえます。
嘱託社員として働くデメリット
嘱託社員として雇用されるデメリットも存在します。
正社員時代とは待遇が異なる
嘱託社員の待遇は事業主によって異なります。勤務時間や日数を調整できる反面、正社員時代とは異なり、役職を外さたりや昇給がなかったりします。正社員に比べると待遇はダウンすることがほとんどです。
仕事のモチベーションの低下
正社員時代よりも責任が緩和されると、重圧やストレスは減少します。
しかし重要業務から外されることで、仕事に対するモチベーションが低下する可能性もあります。モチベーションを上げる方法もあるため、以下の記事を参考にしてみてください。
企業が嘱託社員を雇うメリット
仕事を安心して任せられる
まず仕事を安心して任せられる点です。仕事の進め方を理解している人材を雇用できる点は企業側にとって大きなメリットです。即戦力になる有能な人材を確保できます。また、嘱託社員が培ったスキルや技術を自社内で十分発揮してもらえます。
人件費を削減できる
業務内容の変更や勤務時間の減少などから、正社員よりも人件費をかけないことが多いです。つまり企業は人件費を抑え、かつベテランの人材を確保できるのです。
企業が嘱託社員を雇うデメリット
病気や怪我のリスクが高い
中高年のため、比較的病気や怪我をしやすく、仕事が滞る可能性があります。
またそれに伴う短期間の退職リスクもあります。
嘱託社員の待遇について
給与やボーナス、社会保険など、待遇がどのように定められているのか確認しましょう。
給与やボーナス
嘱託社員の給与やボーナスは法律で規定されていません。
企業と個人間で交わす有期雇用契約内容に基づきます。
勤務日数や業務範囲が限定的になるため、給与やボーナスは減少する傾向があります。
しかし必ず減るわけではありません。価値ある人材の場合は正社員時代と変わらないケースもあります。
社会保険
嘱託社員は「同日得喪(どうじつとくそう)」の対象になります。
「同日得喪」とは、社会保険の資格の取得と資格の喪失を「同日」に行う手続きのことです。
保険料は、正社員時代の給料を基準に算出しされるため、高額になることが多いです。
「同日得喪」を用いれば、再雇用された月分の保険料から、適切な金額にすることが可能です。
参考:社会保険の同日得喪手続き
有給休暇
定年退職後、期間を空けず再雇用された場合、正社員時代から雇用が継続しているとみなされます。そのため有給休暇は繰越使用が可能です。
しかし退職から再雇用まで一定期間が空いた場合はその限りではありません。労働関係が一度途切れてしまうと、雇用の継続とみなされないため、繰り越すことはできません。
退職金
「勤務延長制度」などの一部の例外を除き、正社員時代の退職金は再雇用前の定年退職時に支払われるのが一般的です。嘱託社員終了時に退職金が発生することはほとんどありません。
他契約形態との違い
契約社員との違い
契約社員も嘱託社員と同様、法律上の明確な定義はありません。
嘱託社員も契約社員の一種という位置付ですが、契約社員は、ほぼフルタイムで働きます。一方、嘱託社員は比較的短時間の勤務です。
業務委託の違い
「業務委託」とは、企業が外部の企業や個人に対して業務を委託することです。会社との雇用関係は結ばないため、対等な立場で業務を遂行できます。
派遣社員との違い
雇用主が異なります。派遣社員は人材派遣会社と契約し、派遣先に赴きます。
嘱託社員は実際に働く勤務先と契約を結びます。
継続雇用制度とは?
「継続雇用制度」とは、従業員が定年後の雇用継続を希望した場合に適用される制度を指します。継続雇用制度には、「再雇用制度」と「勤務延長制度」の2種類があります。
再雇用制度と勤務延長制度について
継続雇用制度には、「再雇用制度」と「勤務延長制度」があります。
「再雇用制度」は、定年退職者を再雇用する制度です。雇用形態は正社員、契約社員、嘱託社員などが対象です。嘱託社員として再雇用する場合、基本的に正社員時代の役職は失失います。企業は70歳までの雇用を継続するよう努める必要があります。
「勤務延長制度」は、定年を迎えた従業員を退職させずに継続雇用する制度です。この場合、従来の雇用形態を維持するため、役職や仕事内容、賃金などが大きく変わることはありません。退職金は勤務延長制度の期間が終了した退職時に支給されるでしょう。
まとめ
嘱託社員は働き続けたいシニア世代にとってよい仕組みです。企業側も経験豊富な人材を自社確保できるため、双方にメリットの多いワークスタイルといえます。
手続き等が少々複雑のため、事前に確認し、スムーズにできるよう努めましょう。
参考サイト
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