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「ミキワメ性格検査」と大衆心理学的ツールの違いー心理学の専門家が語る、本質と正しい活用法

こんにちは。臨床心理士・公認心理師の佐藤 映です。

ミキワメという、心理学をベースにしたHRTechサービスの監修をしております。

近年、SNSを中心に16 Personalitiesといった性格診断が広がり、「自分の性格タイプ」を知ろうとする世の中の流行が活発になっています。一方で、「性格検査とはそもそも何か」「採用でどこまで使ってよいのか」といった点については、誤解も少なくありません。

16 Personalitiesなどの大衆的な心理テストと、適性検査等に含まれる性格検査は、何がどのように違うのでしょうか。加えて、採用・人事の現場で性格検査を使うときに、本当に押さえておくべきポイントはどこにあるのでしょうか。

本記事では、心理学・心理アセスメントの立場から、

  1. 「性格検査」とは何かという基礎
  2. 採用で使う性格検査に求められる条件
  3. ミキワメ性格検査の設計思想
  4. 大衆心理学的心理テストの位置づけと限界
  5. 採用での活用法

を順に整理してお伝えします。


目次

1. 「性格検査」とは何か――心理測定と質問紙法の基礎

性格を「測る」とはどういうことか

心理学では、人の内面に関する比較的安定した特徴(パーソナリティ等)を測定し、数量的に扱うための学問分野を「心理測定(サイコメトリクス)」と呼びます。

一般的な、アンケートに回答する形式の性格検査は、その中でも「質問紙法」と呼ばれる手法に属します。
複数の質問項目に対する自己報告(「そう思う/思わない」など)を集め、その回答パターンを統計学的に分析することで、質問の背後にある性格傾向のニュアンスや、それらに対する反応性の傾向から性格特性を推定する仕組みです。

質問紙法で性格を推定するプロセス

性格検査は、単に「それっぽい質問を並べたアンケート調査」ではありません。理論的根拠にもとづくきちんとした検査であれば、少なくとも次のような手順と検証を経て作られます。

1.測りたい性格特性を理論的に定義する
まずは「社交性」「情緒安定性」「誠実性」などを、心理学の既存理論や先行研究に基づいて定義し、「何をもって高い/低いと言うのか」を言語化します。

ユーザー目線の意識としては、似たような用語を使っていても、考え方によって定義が異なる場合もあるため、特定の概念が「高い/低い」というとき、それが具体的にどのような心理傾向や特性を表しているのかを定義で確認することが大切です。

2.質問項目を作成する
定義に基づき、その特性が日常場面でどのような行動や感じ方として現れるかを記述した質問文(項目)を多数作成します。作成にはその分野の専門家の協力を得たり、すでに作成されている近い概念を参照したりすることで、質問項目が、1で定義した概念を適切に測定できているかどうかを丁寧に検証します。

この作業が心理測定において最も重要な工程といってもよいです。一度作ってしまった質問項目を、実地調査で検証したあとは、質問項目の日本語表現それ自体を変えることができなくなるからです。(変えてしまうと、再度調査をやりなおしになります)。

できるだけ時間をかけて概念と質問項目を精査し、それが目的にかなっているかを丁寧に確認・検証します。日本語のちょっとした語尾やニュアンスが変わるだけで、測定結果の統計的な傾向も変わってしまうため、測りたい目的に合った日本語表現にこだわりぬいて作成されます。

3.統計的な検証(信頼性・妥当性)を行う
実際に多くの人に質問項目を回答してもらい、尺度(質問項目の束)の質を統計的に検証します。測定したい概念や定義、目的にかなった調査対象者を選定し、回答してもらうことになります。

代表的な検証方法は、以下のような手法や指標です。

・項目分析:
測定した質問項目の回答結果に大きな偏りが生じていないか(多くの人が高い/低い回答をしている、逆に多くの人が中心寄りの回答をしているなど)、質問項目ごとの平均値や標準偏差などの基礎統計量を確認することで検証します。

みんなが「当てはまる」と答えるような質問には、個性を弁別する力がないため、精度の低い質問ということになります。

場合によっては、項目反応理論(Item Response Theory)などを用いて、各質問項目の回答選択肢に対してどの程度の確率で回答されているのか、質問項目のセットが持っている情報量やそのばらつきのような統計指標を確認しながら、その精度を検証します。このあたりは専門性が高いため、ご関心があれば専門書をご参照ください。

・因子分析:
多くの質問項目の回答パターンから、「共通した動きをしている質問グループ」を抽出し、そのグループが想定していた性格特性の概念と対応しているかを確認します。同じ特性を測ろうとしている質問項目がまとまっているかを検証する手法です。

性格検査に「似たような質問が多い」と感じることがあるのも、この仕組みに起因しています。性格自体は直接測定することができないため、質問項目への反応傾向の中に、性格に関わる意味内容が潜在していると考え、複数の質問項目に共通の意味が潜在しているといえるかどうかを確認する分析といってよいと思います。

・信頼性(例:内的一貫性・再検査信頼性):
信頼性は、「何度測定しても近い結果が得られるか」という測定の安定性を表現する指標です。同じ特性を測る項目同士が矛盾していないか、時間をおいて測っても大きくブレないか、といった観点から評価します。

性格検査に関わっていると「アルファ係数(クロンバックのアルファ)」という指標を聞いたことがある方もおられるかもしれません。これは「似たような質問項目同士の意味内容に一貫性があるか(内的一貫性)を示す指標で、一般的には0.7〜0.8程度が適切とされています。

その他、短いスパンで2回回答してもらい、その結果の相関を確認したり(再検査信頼性)、回答を半分に分けて相関を見たり(折半法)といった方法があります。

・妥当性(例:収束・弁別・予測妥当性):
妥当性は、「測りたいものを測れているか」という測定の精度を表す概念です。すでに複数の研究で活用されている尺度や、関連すると考えられる行動指標(業績、離職、エンゲージメントなど)との関係を調べ、「狙ったものを測れているといえそうか」「他の概念と混同していないか」を検証します。

妥当性に関しては、明確な数量的な指標をあげづらいところがあります。因子分析によって潜在的に想定できる意味内容の構造が適切になっているかという「因子的妥当性」や、専門家などのチェックによって質問や概念の内容が適切かを確認する「内容的妥当性」など、さまざまな角度から妥当かどうかが検証されます。

多くの検証がなされているほど、その尺度は妥当なものとして世の中に認知されているということになるでしょう。(妥当性を検証することそれ自体が、その心理的概念に関する研究なのかもしれません)。

「社交性」を例にしたイメージ

例えば「社交性」を測定したいとします。次のような複数の質問を組み合わせます。

  • 「初対面の人と話すのは抵抗がない方だ」
  • 「大人数が集まる場に参加すると元気が出る」
  • 「一人で過ごすより、人と一緒にいる方が好きだ」

これらへの回答パターンを統計的に分析し、質問項目に潜在している「社交性」という共通のニュアンスがどれくらい強く現れているかを推定します。

単一の質問だけで「あなたは社交的です」と判断するのではなく、複数の観点に含まれる潜在的な「社交性」という傾向が高いかどうかを推定することで、測定誤差を減らし、より精度の高い結果を得ているのです。

このように、性格検査は心理学と統計学の枠組みに基づいた「測定ツール」であり、その質は信頼性・妥当性といった観点から評価されます。


2. 採用・人事で用いる性格検査に求められる条件

では、採用や人事の現場で性格検査を用いるとき、どのような条件を満たしていることが望ましいでしょうか。主なポイントを整理すると、次の通りです。

1.明確な理論的背景と測定対象
どのような理論的背景(例:ビッグファイブ、動機づけ理論など)に基づき、どの構成概念(社交性、柔軟性など)を測定しているのかが明示されていること。

2.十分な心理測定の質(信頼性・妥当性)が担保されていること
因子分析や信頼性・妥当性の検証が行われていて、それが学術的な水準であることや、採用で重要なアウトカム(早期離職など)との関連が検証されているか。

3.公平性・倫理性への配慮
「個人の努力では変えられない属性」で応募者を排除しないことは、厚生労働省のガイドライン(『公正な採用選考について』)でも提言されており、重要な視点です。性格検査の結果を個人情報として丁寧に取り扱うことや、性格検査の結果だけから採否を決めない、特定の性格だけを高評価するなどのレッテル貼りをせず、多様性を尊重し活かす、といった運用ルールが明確であることも含まれます。

2の観点とも関わりますが、自社への適性に対する明確な根拠もなく、ただ人柄や雰囲気だけで不採用とするのは、公正な採用とは言えません。一方で、過度にシンプルに捉えられた使い方(このタイプはだめだ、等)も偏見や差別を助長します。適切な捉え方と活用方法を意識しましょう。

4.実務で解釈しやすいこと
3の意味でも、現場の面接官・マネジャーが理解できる言葉で結果が提示され、面接や配属の場面で「具体的な問い」や「具体的な配慮」に結びつけられることが大切です。難解でよくわからなければ、ただ情報を搾取しただけで終わってしまいますし、かといってシンプルすぎても誤解につながります。

面接や面談でのコミュニケーションを促し、個人とより活発に対話したり話を聞き、強みや伸びしろを相互理解にもとづいて発見するツールとして活用することが推奨されます。

ミキワメ性格検査は、このような条件を満たすことを前提に、「採用に関わる人が、人の内面に興味をもち、決めつけすぎずに対話を行い、会社と候補者それぞれに利益をもたらし、相互に生産的な結果を生み出す」ことを重視して設計されています。


3. ミキワメ性格検査の設計思想――「現場で必要な要素」×「心理学理論」

人事が見たい要素から逆算する

多くの適性検査は、既存の心理学理論を土台に、「その理論に沿った形で」尺度が設計されます。ミキワメの性格検査も、もちろん心理学理論を前提にしていますが、出発点はあくまで採用・人事の現場です。

人事・採用担当者が重視する特徴としては、実は長い間変化が少ないです。例えば次のようなものがあります。

  • チャレンジ精神
  • 主体性
  • 成長意欲
  • コミュニケーション力
  • ストレス耐性 など

ミキワメでは、こうした実務上の要件を心理学の言葉に翻訳し、「何をどのように測れば、これらの要素を間接的に推定できるか」「過度な決めつけや誤解なく解釈してもらえる概念として測定できるか」を逆算して、性格検査の構成概念と項目を設計しています。

複数理論の統合と階層性

ミキワメ性格検査では、ビッグファイブ理論をはじめとする複数の人格理論・動機づけ理論・ストレス理論を参考に、以下のようなカテゴリを設定しています。

  • コミュニケーション特性(人との関わり方、影響の与え方)
  • ストレスマネジメント特性(ストレスの感じ方・処理の仕方)
  • バイタリティ特性(エネルギーの向け方:対人/課題/自己成長など)

さらに、内面を次のような階層的構造として捉えて測定しています。(氷山モデルと言われたりします)

  • 無意識的側面:環境に左右されにくい比較的安定したパーソナリティ
    (例:ビッグファイブに関連する特性)
  • 意識的側面:環境や役割・状況に応じてゆるやかに変化する行動特性・習慣

無意識面だけを見ると「自然なその人らしさ」は分かっても、「特定の状況においてその人が意識している行動」には結びつかないことがあります。逆に、意識面だけを固定的に見すぎると、環境の影響を過大評価してしまうリスクがあります。

階層構造で併せて見ることで、「その人の自然なふるまいの傾向」と「現在の行動や態度の意識」の両方を、バランスよく理解できるよう設計しています。


4. 大衆心理学的な心理テスト

「大衆心理学」とは何か

ここで言う「大衆心理学」とは、SNSや書籍、Webサービスなどを通じて広く一般に浸透しているものの、

  • 学術的にどこまで検証されているかが一般利用者からは見えづらい
  • 本来の前提条件や限定事項が省略された形でカジュアルに流通している

といった特徴を持つ心理的な消費コンテンツの総称です。

ちまたで流行している16タイプ検査のようなものも、多くの人にとってはこの「大衆心理学コンテンツ」として消費されています。ただし、それぞれの成り立ちや前提はかなり異なるため、分けて整理する必要があります。

学術の心理学と大衆心理学の違い

ポピュラー心理学(大衆心理学)は、一般向けに流通する「心理学っぽい言説」の総称で、真実・半分正しい話・誤りが混在しやすい、という指摘が古くからあります。メディアや自称専門家の助言が「真実、半分真実、誤りの混合」になりやすく、誤情報も広く流通しうる点が特徴です。

重要なのは、「大衆心理学=全部ダメ」ではないことです。科学的知見を適切に翻訳して一般向けに伝える活動も同じ領域に入ります。したがって、見かけ上の情報の形式ではなく、根拠の質や背景と、「どこまで言ってよいか」という使い方のマニュアルに注目することが大切です。

【学術としての心理学(心理学的アセスメントの科学)の目線】

・理論とデータの往復:構成概念(例:衝動性、外向性)を定義し、測定(質問紙・課題・面接・行動指標など)で検証する

・誤差と不確実性が前提:効果量、誤差、一般化可能性、反証可能性を扱う

・再現性・反証・限定条件を意識:どの集団・状況で成り立つか、どこで崩れるかを明示しやすい

・査読や技術文書がある:他者が検討できる形で根拠が提示される

【ポピュラー心理学】

・媒体の性質上、わかりやすさ・面白さ・即効性・物語性・営利性が優先されやすい

・解釈の適用条件(測定対象となる母集団、測定誤差、理論的根拠など)が省略されやすい

・「タイプ分け」「ラベル付け」など、理解しやすい表現が過剰に使われやすい

ただし、学術側も万能ではありません。学術論文でも、測定が弱い・外的妥当性が薄い・追試が弱い等は起こりえます。したがって実務上は、「学術か大衆か」よりもどの用途に対して、どの程度の妥当性の証拠があるかで評価する方が合理的です。

ポイントは「雰囲気」ではなく、スコアの解釈と、意思決定にたりうる精度検証の体系があるかどうかです。

日本心理学会発行の心理学雑誌『心理学ワールド』にて、世の中にある心理テストを分類されている記事があります。こちらでは、どんな検査も、使用目的を明確にすることが重要であることが指摘されています。ぜひ合わせてお読みください。

引用:小塩真司「研究と社会をつなぐ心理検査・心理診断─目的外使用の観点から」

URL:https://psych.or.jp/publication/world112/pw03/#mainNote


使い方はどう気をつけるべきか(誤用パターン別)

どんな検査も、それぞれに目的や適切な場面があります。誤用をさけるための使い方において気をつけるべきことをまとめました。

A. 結果やスコアを絶対視したり、唯一の根拠として使わない

検査結果はあくまで確率論的な推定結果であり、自己報告によって本人の主観的な感覚の傾向を測定したものです。物理的な物差しで測定したときのような客観的な長さを測る場合と違って、心や性格といったものは流動的で曖昧な対象です。

測定結果を絶対的・客観的な正解のように扱うのではなく、ある程度の方向性を推定できる予測結果のように捉えましょう。

また、特に採用選考においては、適性検査を含む複数の手法を組み合わせて評価することによって、ミスマッチを防止し、採用の制度が向上することがわかっています。書類選考の評価や、面接の評価、インターン選考やグループディスカッションの評価など、複数の評価基準を組み合わせて総合的に合否判定を行いましょう。

単一の検査結果のみから評価することで効率化出来ると考えるかもしれませんが、これは逆に評価の精度を下げたり、結果的にミスマッチや機会損失につながります。

B. 唯一の真実のようにレッテル貼りしない(タイプ論の落とし穴)

いわゆる「タイプ分類」は理解しやすい反面、

  • 本来多様で他段階の傾向があるものを恣意的に二分・四分してしまう
  • ちょっとした誤差のせいでタイプが容易に入れ替わる
  • 行動予測を過大評価しやすい(確証バイアス、バーナム効果)

という構造的な課題もあります。

タイプによる表現は、「個性をわかりやすく可視化している」ように見えて、じつは無限に近い個性を、16種類などに「要約した」結果であり、解像度は低下しています。

タイプ分類は、個性に関心を持ち、より深く知りたい、可能性を探索したいと思えるようになることへの入り口であって、個性を固定化して理解するラベルではありません。分類結果を客観的な事実のように扱わず、出身地や自己開示を聞いているときのような「今のその人を知る手がかりのひとつ」ぐらいに理解しましょう。

C. 実施・解釈のための資格や、実施手続きの知見を集める

国際的には、テスト使用者に必要なコンピテンシーとして、職業倫理、受検者の権利尊重、テスト選択と評価方法の知見、実施方法・採点・解釈方法の知見、報告とフィードバックの知見などが整理されています。

自分たちが使っている測定手法について正しい知見を身につけて、結果の取り扱いや判断の精度をより高める努力をする必要があるでしょう。

D. データ倫理(同意・目的外利用・保管)を念頭に置く

特に最近はアプリやWebでの受検も容易になっており、結果はデータで管理されることがほとんどです。

データ管理においては、取得目的と利用範囲(目的外利用の禁止)、保管期間や削除の基準、二次利用(研究利用)の同意有無、結果の共有範囲(上司・親・学校等)、推定されうるセンシティブ情報(メンタル不調、障害、政治・宗教等)の取り扱い等を先に決めておかないと、心理測定以前に運用上の事故リスクになります。

自社でデータをどう扱うかの規定やリテラシーを高め続ける努力も必要です。


実務での見分け方:10のチェックリスト

「大衆的テスト/本格的な検査」を見分けるときに参考にしてください。

  1. 測っている構成概念は何か(理論や定義があるか、曖昧語で逃げていないか)
  2. 意図した用途は何か(自己理解/スクリーニング/診断補助/選抜…)
  3. その用途について妥当性証拠があるか(継続的に研究・検証されているか)
  4. 対象集団は誰か(年齢、言語、文化、職種)
  5. 標準化の際のサンプルは明示されているか(サンプルデータ数、属性、時期)
  6. 信頼性(精度)は用途に足りるか(ハイステークスほど高精度が必要)
  7. 標準誤差やカットオフ基準などの不確実性を扱っているか
  8. 反応バイアス、フェイキング、状況要因などを検討しているか
  9. 結果の使い方(不利益、スティグマ、差別)への配慮があるか
  10. 実施・解釈・フィードバックの手順と責任が定義されているか(受検者の権利も含む) 

本来のMBTIと、SNSで広がる「MBTI的診断」

本来のMBTIは、ユングの分析心理学の心理学的類型論をベースとした、自己理解・対話ツールです。資格を持った実施者によるフィードバックを前提とし、

  • 自分の「ものの見方・判断の仕方」の傾向を理解する
  • 他者との違いを受け止め、コミュニケーションやチームワークを改善する

ことを主な目的としています。

一方、SNSなどで「MBTI診断」として広く流通しているものの多くは、実際には別サービスの結果を指していたり、MBTI風のタイプ分けを真似た簡易診断であったりします。この時点で、すでに「本来のMBTI」とは異なる性格診断が混同されている状況と言えます。

そもそも本来のMBTIでは「診断を目的としていない」ことが強調されています。一般にはあまりピンとこないかもしれませんが、このような行為、性格を固定化して捉えたり、一方的に診断する行為は暴力的であり、人の可能性を狭めたり、傷つけたりといった自体にもつながりかねない大変センシティブなものです。

日本MBTI協会の公式ホームページでも、以下の注意文章が発表されています。

 『16Personalities性格診断テストを「MBTI®」だと思って受けられた方へ』:https://www.mbti.or.jp/attention

実際、自己診断によって将来を諦める人がいたり、自分の可能性を固定化しすぎてしまいネガティブに捉えてしまったり、大衆心理学的なタイプ診断を、単に楽しいツールとしてだけでなく、心に深い傷を残してしまうこともあるのです。

カジュアルな心理診断は、以下のように捉えるべきだと思います。

  • 自己理解や雑談のきっかけとしては有用
  • 結果の精度や妥当性、限界についての情報が一般ユーザーからは見えにくい
  • 採用選考や評価など、高い公平性・説明責任が求められる文脈で使うには設計上の前提が異なる

言い換えると、「出身地」や「好きなスポーツチーム」と同じように、会話の取っかかりとしてはとても使いやすい一方で、それだけで人を判断したり採用合否を決定すべきものではありません。

ミキワメは、「タイプ分けの楽しさ」を提供するツールではなく、「その人の個性を多面的に理解し、社内で活躍いただくための相互理解やコミュニケーションに活かす」ことを検討するための専門的な性格検査です。


5. 採用でカジュアル診断を使うリスク――公平性・多様性・ガイドラインの観点から

MBTI風のカジュアル簡易診断は、自己理解やチームビルディングの「会話のきっかけ」として用いる分にはいくぶん有用です。しかし、それらを採用選考の判断材料として用いる場合には、次のようなリスクが生じます。

① 一側面だけで人を判断してしまう

タイプ分けは直感的で分かりやすい一方、「○○タイプだから採用/不採用」「うちには△△タイプが合う」といった安易なラベリングにつながりやすい側面があります。

性格はあくまで人の一側面であり、本来の個性の理解や自社に合うかどうかの判断は、スキル・経験・価値観・状況要因など、他の要素と合わせて総合的に理解する必要があります。
タイプだけで採否を決めることは、公平性の観点でも望ましくありません。

② ガイドライン・倫理上のリスク

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」にもあるように、採用選考においては、

  • 本人の資質以外の要因(家族構成・出身・信条等)で判断しない
  • 業務遂行能力と直接関係しない事項で不利益な扱いをしない

ことが求められています。

厚生労働省『公正な採用選考の基本』:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html

性格検査についても、

  • 科学的根拠が明確でない診断に過度に依存する
  • 性格タイプだけで応募者をふるい落とす

といった使い方は、ガイドラインの趣旨に反するおそれがあります。

③ 同質性の高まりによる組織リスク

仮に、ある性格タイプだけを意図的に多く採用したとします。短期的には、

  • 意思決定が早く感じられる
  • 内部のコミュニケーションはスムーズになる

といったメリットがあるかもしれません。

しかし中長期的には、

  • 視野が狭まり、集団思考(グループシンク)が起こりやすくなる
  • 顧客や社会の多様性と組織内部の多様性が乖離し、ズレが大きくなる
  • イノベーションが生まれにくくなる

といったリスクが顕在化します。

性格検査は「同じタイプの人だけを集めるためのフィルター」ではなく、「多様性を理解し、それぞれの強みを活かすための情報源」として使うことが重要です。


6. ミキワメ性格検査の位置づけと正しい活用法

性格検査は「仮説生成のツール」

ミキワメでは、性格検査の結果はあくまで「仮説」であると位置づけています。検査結果は、その人の回答に基づく統計的な推定値であり、それ自体が「その人の本質をすべて言い当てるもの」ではなく、面接や対話を深めるための出発点であるということが前提です。

したがって、開発者としては「性格検査の結果だけで採用可否を決める」ことを推奨していません。面接での対話、スキルチェック、経験や価値観の確認などと組み合わせて、総合的に判断することを前提としています。

ミキワメの具体的な活用例

  1. 面接の質を高める材料として
    • 検査結果を見ながら、「この結果について、どのように感じますか?」「こうした状況ではどのように行動してきましたか?」といった問いを投げかけることで、応募者の自己理解の深さや具体的な行動エピソードを引き出しやすくなります。
  2. 配属・育成の個別戦略を考えるためのヒントとして
    • 同じ部署に配属する場合でも、課題志向が強い人にはチャレンジングなプロジェクトを、対人支援にモチベーションを感じる人には顧客折衝の機会を、など、個性に応じた役割設計やフィードバックがしやすくなります。
  3. 組織全体の傾向を把握するための組織診断として
    • 部署ごとのパーソナリティ傾向の分布を可視化することで、マネジメントスタイルの見直し、採用ターゲットの再定義や、研修・制度設計の見直しなどにつなげることができます。

いずれの場合も、「誰を落とすか」を決めるためではなく、「目の前の人や組織を、どう活性化するか」を考えるための情報として使うことが重要です。


7. まとめ――レッテル貼りではなく、対話と成長のきっかけとして

性格検査は万能ではありません。当然、人の心のすべてが、数値やタイプで表現できるわけでもありません。

しかし、心理測定の考え方に則り、信頼性・妥当性・公平性を意識して設計・運用された性格検査は、応募者や従業員の理解を深めたり、面接や配属の質を高めたり、組織の成長を支えるための有効なツールになりえます。

ミキワメ性格検査は、大衆心理学的な診断とは異なり、採用・人事のコミュニケーション活性化に活用できること、個人と組織の双方の成長を支援すること、を目的とした専門的な性格検査です。

性格検査の結果を「レッテル貼りの材料」として使うのではなく、「対話を深め、一人ひとりの可能性を探るためのきっかけ」として活用する。そのような企業文化づくりを、ミキワメは心理学の専門性を通じて支援していきます。性格検査の活用について、ご質問やご相談がありましたら、ぜひミキワメまでお問い合わせください。
皆さまの人材戦略と組織づくりに、専門的な知見から伴走させていただきます。

ABOUT ME
佐藤 映
株式会社リーディングマーク 専門役員/組織心理研究所 所長 臨床心理士・公認心理師。
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。修士(教育学)。
京都文教大学で教鞭をとった後、2020年にリーディングマークに入社。
「ミキワメ」の性格検査、ウェルビーイングサーベイの設計責任者を務める。

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