メタ認知という言葉をご存知でしょうか。昨今、重要度が高まっている概念です。
メタ認知についての理解がまだできていない、あるいは人材教育をより効率化したいとお考えの場合は、ぜひ最後までご覧ください。
メタ認知とは?そもそも「メタ」って何?
メタ認知の定義からまずは解説していきます。
定義
メタとは「高次の」という意味の言葉です。
メタ認知はすなわち「高次の認知」で、「自分が認知していることを客観的に理解、コントロールすること」「自分が知っていることやできることを、客観性を持って認識すること」という意味合いです。
歴史
ソクラテスの「無知の知」の概念、すなわち「自分が知らないことを自覚する」ことは、現在のメタ認知に通じる考え方です。
そして、メタ認知そのものは、1976年にJohn H. Flavellが提唱した「メタ記憶」が元になっています。
その後、1984年にA.L. Brown「メタ理解」「メタ注意」などが概念を拡張しメタ認知の研究が活発になりました。
メタ認知の種類
メタ認知は2つに分類されます。
- メタ認知的知識
- メタ認知的技能
メタ認知的知識
「自分で自分を認識して得た知識」のことです。
例えば
- 私は短気だが、情に厚い
- 大勢の前で話すのは苦手だが、1対1なら自然に話せる
など、自分自身について知っていることを「メタ認知的知識」といいます。
ただし、メタ認知的知能だけでは、改善案の提案・実行は難しいです。
メタ認知的技能
改善案の提案・実行に必要なのがメタ認知的技能です。
メタ認知的技能とは、メタ認知的知識を持った上で、自分の問題や課題をどうすれば改善できるか、対策を考え実行する能力のことです。
- 私は短気だが、情に厚い→カッとなったら一旦深呼吸し、感情を言葉にした上で力強く相手に伝えよう
- 大勢の前で話すのは苦手だが、1対1なら自然に話せる→大勢に向けたプレゼンではなく、1対1のコミュニケーションが活かせる仕事に就こう
など、対策を考え改善する力がメタ認知的技能です。
参考: メタ認知の概要
勉強した “つもり” に要注意。なぜか努力が報われない人には「メタ認知能力」が少し足りない
メタ認知能力が高い人の特徴
メタ認知能力高い人の特徴をそれぞれ紹介していきます。
気配りができる
自分を含めた環境の現状を理解でき、最善の行動を取れるため、他人が困っていれば助け、自分が問題を抱えていれば、助けを求めます。
その結果、気配りができる人、問題を抱えない人として評価されるでしょう。
常に冷静で正しい判断ができる
自分のことを適切に理解でき、感情を爆発させることがほとんどありません。
冷静に物事を判断し、常に正しい方向性に物事を導くでしょう。
怒りや悲しみ、失望を心に抱いても、一旦冷静になり、その感情をどう処理するべきか、メタ的に認知しているので、無闇に感情を発露することがありません。
自分の欠点を理解し改善する
自分の欠点を正しく理解し、どうすれば改善・カバーできるかを常に意識しているので、問題を抱えたまま進行することがほとんどありません。
そのため、改善スピードも早く、順調に成長します。
何事に対しても意欲的
問題を適切に理解し、改善する方法を提案・実行できます。
できないことをゲーム感覚で処理できるのも、メタ認知能力が高い人の特徴です。
彼らとっては、問題解決も一種の思考ゲームなのです。問題解決の方法を論理立てて提案できるので、何事にも意欲的な姿勢が見られます。
物事に対して柔軟な見方で対応できる
主観と客観を切り分けて考えることができます。
「自分はこう思うけど、他人はそう思わない」「自分はこれが正しいと思うけど、それ以外の意見もある」と認識しているので、柔軟に物事を判断できるでしょう。
賛同できなくても、必要ならその感情を抑えて行動できるのが、メタ認知能力が高い人なのです。
積極的なケアを必要な場合がある
メタ認知能力が高い人は優れた人材ですが、時に周囲に気を配りすぎるという問題もあります。柔軟に物事を見られる反面、板挟みになる場合もあります。
優秀ゆえに、問題を抱えることが多いので、人材育成の場では、積極的なケアをしてあげることも重要です。
メタ認知能力が低い人の特徴
メタ認知能力が低い人の特徴は下記です。
物事を偏った見方でしか判断できない
自分に主観と客観を切り分けられないということでもあります。
その結果、自分の考えが正義で、それ以外は間違いといった考え方になりがちです。
柔軟に物事を考えるのが苦手なのも、メタ認知能力が低い人の特徴です。
努力が結果に結びつきにくい
メタ認知能力が低い人は、努力が結果に結びつきにくい傾向にあります。
自分を客観的に見られないため、正しい方向性の努力ができず、結果的に遠回りになってしまうのです。
例えば
- 作業を頑張ったつもりなのに成果が出なかった
- プレゼン資料を作るのに時間をかけたのにいまいち評価がよくなかった
などです。
上記は、自分を客観視できていない、つまりメタ認知ができていない場合に起こりうる事柄です。結果を出すために何をするべきか、逆算して適切な行動しましょう。
メタ認知能力を鍛えるメリット
メタ認知能力を鍛えるメリットを解説します。
問題解決ができるようになる
メタ認知能力が高ければ、
- 問題の把握
- 改善策の提案・実行
が容易にできるようになります。
その結果、問題が発生しても直ちに改善策を提案できるので、プロジェクトを滞りなく進行できるでしょう。
環境変化に適応できるようになる
また、メタ認知能力が高くなると、環境変化に適応できるようになります。
環境が変わると自分に求められることが変わりますが、メタ認知能力が高い人は、自分に求められていることをすぐさま理解し、次に何をするべきかを理解します。
その結果、部署異動があった場合でも、異動先で即戦力として活躍することができます。
自分を客観的に判断できるようになる
自分を客観的に判断できるようなり、他人を頼る等で短所をカバーできるため、無理に仕事を抱え込むことがなくなります。
周囲とコミュニケーションを取りながら、適切かつ最善の方法で仕事を進められるのが、メタ認知能力を鍛えるメリットです。
メタ認知能力を鍛える3つの方法
メタ認知能力を高める方法は3つあります。
それぞれ解説していきましょう。
メタ認知的モニタリング
メタ認知的モニタリングは、自分を客観視し、問題を洗い出す方法です。
- 今の状況
- 思考
- 気分
- 行動
- 体の反応
上記5観点を書き出します。
怒りや悲しみと向き合い、「なぜ、こういった感情になったのか?」をしっかり考えることで、冷静になり、対処法も思いつきます。
また、毎日の出来事やニュースを題材に「なぜこの人はこんな行動をしたのだろう」等を客観的な思考をすることも、モニタリングの一つです。
メタ認知的コントロール
メタ認知的コントロールは、モニタリングで獲得した知識(メタ認知的知識)をもとに、問題解決の案を考え、実行することです。
たとえば怒りの原因が相手の態度だったとしましょう。
相手の態度をあえて無視し、話の内容の方に集中するように意識することがコントロールです。感情の原因を理解する「モニタリング」、問題解決の方法を考える「コントロール」を合わせて行い、メタ認知的能力を高めましょう。
コーチング(認知療法)
コーチングとは、第三者に話を聞いてもらうことで、自分の考え方の癖や傾向を客観的に理解し、修正してもらうことです。
その際は、専門家・プロなど、知識とスキルを持っている方にコーチングを依頼しましょう。
客観性が重要なので、最初は第三者からの評価を基準に自身を顧みることが大切です。
まとめ
メタ認知が高いと自分のことを客観視し解決方法の提案・実行が可能です
それぞれを人材育成の段階から指導していくことで、
社員一人ひとりがメタ認知能力を有し、組織全体の生産性が非常に高くなります。
この機会にぜひ、メタ認知のトレーニングを行いましょう。
参考:メタ認知の概念
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