カイゼンは主に工場などの製造現場において使用される用語であり、「改善」とは異なる独特の意味を持ちます。
本記事ではカイゼンの意味や特徴、具体例などを取り上げます。
カイゼンとは
カイゼンとは主に工場などで行う、作業や業務の見直しおよび変更などの活動です。
生産現場における作業効率の向上や、安全性確保などのために実施されます。
経営陣からの指示による強制的な活動ではなく、生産現場で作業を行う個々人が主体的に行う点が特徴的です。
カイゼンで有名なのがトヨタ自動車で、トヨタ生産方式のポイント・強みとされています。
海外でも「KAIZEN」として広まりつつある概念で、特にトヨタ生産方式はアメリカの企業・工場でも参考にされています。
「改善」との違い
漢字表記の「改善」は、悪い状態から良い状態へ変化させることを意味します。
英語の「improvement」に当たる言葉であり、場面を問わず幅広く使用される用語です。
一方でカタカナ表記のカイゼンは、主に生産現場で使用される用語です。
また特定の課題を解決し完了ではなく、より良い状態を実現させるために、継続的に活動を続ける点も特徴として持ちます。
自主的な活動を重視する点も、カタカナのカイゼンが持つ意味合いのひとつです。
改善の一種であり、より範囲を絞り細かな意味を持つ用語と考えると良いでしょう。
カイゼンの特徴
「カイゼン」の特徴は、以下の2点です。
- 作業者が活動の中心
- 継続的に行う
作業者が活動の中心
カイゼンは責任者など上の立場からの指示ではなく、作業者である従業員が活動の中心です。
課題を明示され指示に沿って行動するのは通常の業務であり、カイゼンとして特別に区別するものではないでしょう。
カイゼンで大切なのは、作業者がそれぞれ考え、知恵を出し合って進める点です。
作業者から主体的に課題解決や好転に向けて活動することが求められます。
継続的に行う
カイゼンは一度課題を解決したら終わりではなく、課題解決から振り返りまでのサイクルを継続する点も特徴的です。
現状に満足し過ぎず、生産現場の環境をより良くするために活動し続けます。
単発であるか継続的であるかは、改善とカイゼンの大きな違いです。
カイゼンの目的
カイゼンの目的として、以下のような例が挙げられます。
- 現場の安全性確保
- 効率化によるコスト削減・生産性向上
- 従業員の意識改革
現場の安全性確保
工場などの生産現場においては、作業工程における安全性の確保が重要です。
生産現場は事故やトラブルが起こりやすい環境です。
スムーズかつ安心して作業を行える現場の実現に向け、現場の安全性確保を目的としてカイゼンが行われます。
効率化によるコスト削減・生産性向上
作業の効率化もカイゼンの主な目的です。効率化によるコスト削減・生産性向上を目的としています。
工場では多くの人・プロセスが入り組んでいるため、各々の工夫の積み重ねは大きな効果を持ちます。
従業員の意識改革
従業員の意識改革も、カイゼン活動を通して期待できます。
カイゼンでは従業員自身が思考・行動をする必要があるため、必然的に自主性や責任感が強くなります。
またカイゼンによって生産現場がより良い状態になれば、自信や満足感などの前向きな気持ちも得られるでしょう。
このようにカイゼンは、受け身かつ消極的な状態から、自主的かつ積極的な状態への意識改革も期待できます。
一人ひとりが問題意識を持つようになり、自主的に考える習慣が身につくのです。
カイゼンの進め方
カイゼンを行う際は、一定のサイクルを回しながら進めるケースが多いです。
カイゼンの進め方の例として下記があります。
- 課題の発見および現状把握
- アイデアを出し合う
- 方法に着手する
- 振り返りや分析を行う
課題の発見および現状把握
まずは課題の発見および現状把握を行います。
現状の生産現場にて、何が課題となっているかを考え、作業者の間で共有します。
「作業工程で発生している無駄なポイント」「危険を感じるポイント」など、視点はさまざまです。
広い観点から意見を集め、課題の発見・現状把握を行い、カイゼンのゴールを設定します。
アイデアを出し合う
続いては設定した課題の解決に向け、アイデアを出し合う段階です。
多くのアイデアを出し合い、ある程度アイデアが集まってから絞り込みを進めます。
そのため意見を否定せず、アイデアを自由に発言できる状態が大切です。
アイデアを出す際も、広い視野やさまざまな視点が求められます。
具体的な方法の絞り込みを進める上では、現状のリソースで無理なく行えるアイデアの選択が重要です。
業務の妨げにならない程度に実行できる方法を選びましょう。
方法に着手する
話し合いの結果選ばれた課題解決の方法に着手します。
カイゼンはあくまでも主体的な思考や予測に基づいて進める活動です。
したがって方法の明確な正解は不明な状態であり、必ず上手くいくとは限りません。
しかし「やってみる」ことが大切であり、必要に応じて軌道修正や別の方法着手などをすれば良いのです。
考えすぎて立ち止まってしまわないよう、実際に行動を起こせる環境づくりが求められます。
振り返りや分析を行う
ある程度の期間が経過したら、カイゼンの振り返りや成果の分析などを行います。
この振り返り・分析までが、カイゼンで行うべき1サイクルです。
目的や方向性を決めて具体的な行動を始めても、そこで終わりではありません。
活動を進めていくうちに、より良い方法に気づく、もしくは新たな課題を見つける可能性もあります。
ひとつの決定に固執せず柔軟な対応をし、さらなる良い状態を作り上げる必要があります。
カイゼンはサイクルを継続的に回し、高い柔軟性を持って活動を進めることが大切です。
カイゼン活動の例
カイゼン活動の例を紹介します。
- 提案書や報告書の提出
- 5S活動
提案書や報告書の提出
提案書や報告書の提出はカイゼンに該当します。
提案書や報告書では、自主的な思考による課題発見・分析などが必要であり、カイゼンの一種と考えられます。
カイゼンはその後の行動までを含む概念ですが、その第一歩として有効な活動です。
5S活動
5S活動とは現場をより良い状態にするために用いられる行動サイクル・取り組みのひとつです。
以下5つの行動をセットとします。
- 整理(Seiri)
- 整頓(Seiton)
- 清掃(Seisou)
- 清潔(Seiketsu)
- 躾(Shitsuke)または習慣(Shukan)
単にこれらの行動をするのではなく、現場環境向上のために考えながら進めることが、カイゼンにつながるポイントです。
5Sは生産現場だけでなく、様々な環境で活用できる考え方です。
まとめ
カイゼンは改善と似た意味を持つ用語ですが、細かな意味合いや使われる場面に違いがあります。
主に工場などの生産現場において、より良い環境・作業工程を実現させるための活動を指す用語です。
カイゼンは上からの指示ではなく、主体的な思考・行動が大切です。
またひとつの課題解消で終わらせず、継続的に活動を行う点も特徴とみられます。
カイゼンの実施により、作業環境の向上や従業員の意識変化などが期待できます。
より良い状態を実現するためにも、ぜひカイゼンの考え方を取り入れてはいかがでしょうか。
参考:カイゼンとは – コトバンク
考:カイゼンとは?改善やKAIZENとの違いや5S活動・トヨタ生産方式との関係 | カイゼンベース / KAIZEN BASE
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