イベントレポート

過去最高益を更新。躍進を続けるクラウドワークスの人材戦略 byミキワメ〜

人的資本経営の最前線を紐解く連続オンラインイベント「人材経営ラボ」。第5回は、株式会社クラウドワークス代表取締役社長 兼 CEOの吉田浩一郎氏をゲストにお迎えし、「過去最高益を更新。躍進を続けるクラウドワークスの人材戦略」というテーマで、人材戦略について詳しくお話を伺いました。

本記事では動画の内容を一部抜粋し、要約してご紹介します。

フルバージョンはこちらから

組織崩壊を乗り越え、再成長できた理由とは?

ー クラウドワークスが経験した「組織崩壊」とはどのような状況だったのでしょうか?

私たちが最初に経験した「崩壊寸前」の事態は、上場後の急成長期に訪れました。上場当時、社員数は29名でしたが、翌年には中途と新卒を合わせて130名を採用し、160名体制になりました。

この急激な拡大により、組織の秩序が崩れ、派閥も生まれることに。2016年から2017年にかけては本当に混乱していました。

特に大きかったのが「WELQ問題」です。当時、DeNAさんとの取引が全社売上の約2〜3億円分ありましたが、それが一気に止まりました。予算の20%近くを失った計算です。

私は「まだ第1四半期だし、頑張ろう」と言ったのですが、社内からは「我々の気持ちがわかっていない社長だ」と反感を買いました。

ゲスト:株式会社クラウドワークス 吉田 浩一郎氏

ー 組織全体がバラバラになっていたんですね。

まさにその通りです。気づけば社内目標が95%にまで下がっていて、「これはもう未達が確定だな…」という空気が広がっていきました。

そんな最中、さらに事件が起こります。GoogleのSEOアルゴリズムが変更され、弊社プラットフォームへの流入数が大きく落ち込んだんです。試算してみたところ、着地見込みはなんと88%に。

上場企業では、売上が前年比で10%以上未達になると「下方修正」の発表義務が生じます。つまり、下方修正を出すことを検討しなければならない段階に突入したということです。慌てて社内議論を始めたところ、社内の空気が一変する出来事が起きました。今までずっと文句を言っていたマネージャーの1人が「さすがに下方修正は乗り切ったほうがいいのでは?」と言い出したんです。

すると不思議なことに、他のメンバーも「そうかもしれない」と言い始め、急に「これは乗り切らなければ!」という一致団結のムードが社内に広がったんです。そこからは「俺、これ10万円改善できるかもしれません」「私、100万円いけます」といった声が上がり、結果、着地は95%まで回復しました。

あとになって「なぜあの時だけ一体感が生まれたのか」と考えた際、それまでは社員が目標をバラバラに捉えていたことに気づいたんです。そこで、目標の定義を「成長を伴うストレッチ目標であり、社会との約束でもあるもの」と社内で統一し、“Growth Target”と名付けました。

ー それが組織の再成長にどのように寄与したのでしょうか?

共通言語が生まれたことで、マネジメントが劇的にスムーズになりました。組織が混乱したときこそ、「何をどう定義するか」が非常に重要です。

弊社では、「Growth Target(グロースターゲット)」「Be Agile(ビーアジャイル)」「One CROWDWORKS(ワンクラウドワークス)」の3つを自社のバリューに設定しています。これにより、社員たちが日々の業務を通じて同じ方向を向き、共通の目標に向かって協力し合えるようになりました。

組織の問題が実際に起きた中、それを解決していく過程で生まれた言葉たちが、私たちを変革に導きました。こうした取り組みが、クラウドワークスを押し上げる原動力となったのです。

聞き手:株式会社リーディングマーク 代表取締役 飯田 悠司

多彩な人材の活躍を引き出すマネジメントの方法

ー クラウドワークスが急成長を遂げた背景には、どのような人材マネジメントがあったのでしょうか?

私たちの躍進の始まりは、2020年9月期からの「生産性向上ポリシー」の徹底と、それを支える「カルチャー」の確立にあります。それまでは赤字が続いていましたが、この両輪によって2021年9月期には営業利益5.7億円、2022年には売上高105億円、営業利益約10億円を達成できました。

クラウドワークスは私にとって2回目の起業なのですが、1回目のときは複数のビジネスに手を出して仲間が離れていく、という苦い経験をしました。売上を上げるだけなら、他の400万社と同じことをやれば済む。でも、「なぜこの会社でやるのか?」という意味がなければ、仲間はついてこない。その感覚を強く持っていたからこそ、カルチャーづくりに時間をかけてきたんです。

ー 具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか?

まず、先ほどお話したGrowth Targetをはじめ、なぜこの会社で働くのかという「意味」を共通言語化し、3か年計画である「CW Culture」として体系的に構築しました。

同時に「生産性向上ポリシー」を掲げ、成長と黒字化の両立を本気で実現するための取り組みを徹底。さらに営業面では「CW Sales Model」という仕組みを新たに構築し、事業の再現性や組織運営の再現性を高めました。

ー 取り組みを通じて見えてきたことはありますか?

「何か成功したら、それをフレームワーク化し、ポリシーとして組織に適用していく」という“自覚的な組織運営”が重要だと実感しています。「カルチャー」は事業の土台となり、「生産性向上ポリシー」は業務効率を支える。さらに「CW Sales Model」が営業の再現性を高めてくれる。

この3つの柱を軸に、私たちは3か年にわたり着実に成長を遂げてきました。多様な人材の力を最大限に引き出すには、共通の言語と目標を持ちながらも、一人ひとりが自分の強みを発揮できる環境づくりが不可欠だと考えています。

最後に

ー 最後に、これからの時代にチャレンジしていかれる視聴者へ向けて、メッセージをお願いします。

今の時代、もはや資本がなくても価値を生み出せる時代になってきています。たとえば、D2Cやサロンビジネス、YouTuberなど、インターネットを活用することで個人が直接ユーザーとつながり、収益を得ることが可能になりました。

つまり、「資本=価値」というこれまでの前提が崩れつつあるということです。これからの時代は、かつて正しいとされていた常識が大きく覆る可能性があります。

だからこそ、既存の価値観や固定観念にとらわれることなく、新しい視点と発想を持って事業や働き方に取り組んでいただきたいと思います。

未来を創るのは、常に「これまでにない視点」を持つ人です。皆さまが、それぞれのフィールドで新しい挑戦をされていくことを心から願っています。

動画でご覧ください

本記事では、第5回人材経営ラボ「過去最高益を更新。躍進を続けるクラウドワークスの人材戦略」のダイジェストをお届けしました。

フルバージョンの動画では、本記事で触れきれなかった以下のようなテーマについて、より具体的かつ実践的な内容をお聞きいただけます。

  • 組織崩壊を乗り越えた背景にある「3つのバリュー」の深掘り
  • 多様な人材の可能性を引き出すマネジメントのリアル
  • AIを活用した生産性向上事例

実際の現場で起きた葛藤や気づき、再成長のプロセスを、クラウドワークス代表・吉田氏が率直に語っています。人を活かす組織を作るヒントを得たい方、組織づくりに悩むリーダーの方にとって、多くの学びが詰まった内容です。

ぜひ、下記よりフルバージョンをご視聴ください。

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