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内々定とは?内定との違いや取り消しできるケースを紹介

新卒採用を行なう場合、内定を出せる時期が決まっているため、それ以前に学生へ採用を打診する手段として内々定が利用されます。

しかし、内々定と内定の違いを把握せず、内々定の間違った使い方をしている企業も存在します。
そこで本記事では、内々定に関して、内定との違いや取り消し可能なケースを踏まえて解説していきます。

内々定とは

内々定とは、企業が応募者へ行なう採用通知のことで、新卒採用において利用されることの多い用語です。
新卒採用では、学生へ内定通知を出せるのが10月1日以降と定められているため、その前に学生へ採用を打診する目的で内々定通知が利用されています。

学生への連絡は、電話やメールで通知するのが一般的です。企業側で学生を採用する方針が決まっても、まずは学生の意思を確認する必要があります。
内々定の連絡時点で、入社するつもりがない学生からは、辞退の旨を伝えられることもあるでしょう。他社との比較で迷っている学生もいるため、内々定への回答には一定期間を設ける企業が一般的です。

参考:内定(内々定)とは – コトバンク

内定との違い

厚生労働省の「2023 年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」によると、新卒採用者への内定通知は卒業・修了年度の10月1日以降に定められています。そのため、それ以前に採用を打診したい企業は、内々定通知を活用します。

しかし、採用現場においては、内定と内々定は基本的にほとんど同じ意味で使用されています。内定と内々定に違いはないと考えている学生も少なくありません。

内定と内々定の大きな違いは、法的な部分です。内定は、内定通知書を学生に送付し、内定承諾書へサインしてもらうことで労働契約が締結される行為です。労働契約が交わされる以上、法的な効力を持つことになるため、正当な理由なく内定を取り消した場合は、法的な責任を問われる可能性があります。

一方、内々定は企業による採用予定通知のことで、内々定を出した時点では、まだ労働契約が結ばれていません。したがって、内々定には法的な拘束力のない点が、内定との違いといえます。

参考:
大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期について|厚生労働省
2020年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請|内閣官房ホームページ

内々定通知・その後の流れ

ここでは、内々定の流れについて紹介していきます。

1.学生へ内々定を通知する

内々定を出すことが決まったら、まずは学生へ連絡します。
学生が他社へ気を向けないように、決定後はできるだけ早く電話やメールで連絡しましょう。学生へ連絡する際は、入社の意向や就職活動を継続するかなどを確認しておきます。

内々定は法的な効力を持たないため、企業の多くはメールや電話により通知を行ないます。書面で内々定通知を出す企業も存在しますが、たとえ学生が書面に押印しても法的拘束力はありません。

2.内定通知書を送付する

10月1日以降になれば、正式に内定を出せます。内々定通知を出した学生へ、内定通知書を送付しましょう。

内定通知書を送る場合は、「内定承諾書」や「入社誓約書」を同封して送るのが一般的です。これらの書類に内定者が署名・捺印することで、内定は法的な効力を有します。
内定者がスムーズに署名や発送を行えるように、提出期限や提出の流れを内定通知書に明記するよう心がけましょう。

内々定通知のポイント

内々定を効果的に出すために、次の3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 電話でスピーディーに気持ちを込めて伝える
  • 学生の心境を考えてアプローチする
  • 独自の方法でメッセージを送る それぞれ解説していきます。

ポイント1:電話でスピーディーに気持ちを込めて伝える

内々定を通知する場合はメールでの連絡でも問題ありませんが、電話での連絡のほうが応募者からの印象が良くなります。また、面接から時間が経過してしまうと、学生の就職活動の状況も変化するため、内々定を出す際はスピード感も意識してみましょう。

内々定通知を電話で伝える場合は、どのような点を評価して採用しようと思ったのかを、採用担当者から気持ちを込めて伝えることも大切です。

ポイント2:学生の心境を考えてアプローチする

他社への就職活動も並行している応募者に対しては、注意深く接するよう心がけてください。例えば、競合企業に応募者を奪われたくない気持ちから、他社の悪口や評判を落とす発言をすることは、自社のイメージを損なう可能性があるため、避けましょう。

ポイント3:独自の方法でメッセージを送る

他社とは異なるアプローチを行なうことで、応募者に関心を持ってもらい、自社への印象を強く残せるよう心がけてみましょう。

例えば、社長が直接メッセージを送ったり、内々定通知書と一緒に花を添えたりしてみると、「この企業は本気で自分を必要としてくれている」と応募者に感じてもらえる可能性があります。
内々定から内定通知までには期間があるため、内々定者の気持ちを繋ぎ止める意味でも、企業独自の内々定通知方法を検討してみましょう。

参考:印象の良かった内々定連絡、悪かった内々定連絡 | 就活生の生コメント集 | 人事ナレッジ集 | 採用・人事・労務のアウトソーシング・コンサルティングならレジェンダへ

内々定を取り消しできるケース

企業が内々定を取り消しできる主なケースは、以下のとおりです。

  • 学生が学校を卒業できない場合
  • 学生が罪を犯した場合
  • 学生が病気やケガで働けなくなった場合
  • 業績悪化により企業が人を雇えなくなった場合 それぞれ解説していきます。

1.学生が学校を卒業できない場合

内々定の取り消し理由で多いのが、「学生が卒業できなくなった場合」です。

内々定を出す時期は卒業年度の10月1日以前なので、内々定通知の時点で学生が卒業できるかどうか見きわめるのは困難といえます。就職が決まったことで気が抜けてしまい、単位不足で留年してしまう学生は少なからず存在します。

企業は、「卒業した年の4月1日からの入社」を前提に内々定や内定を出す傾向にあります。そのため、該当時期での入社が見込めないと明らかになった場合においては、内々定の取り消しが可能です。

2.学生が罪を犯した場合

内々定者が入社までの間に罪を犯した場合、基本的に企業は内々定を取り消しても問題ありません。
テレビやインターネットのニュースで実名報道されるような罪であれば、本人だけでなく、採用した企業の信頼を著しく損なうリスクがあるためです。

ただし、軽い罪で不起訴になった場合などは、内々定の取り消しを慎重に考える必要があるでしょう。
内定と異なり、内々定は取り消しても法的な責任に問われることはありません。

しかし、内々定者とのトラブルに発展しないためにも、取り消すだけの客観的な理由があり、学生や外部へ説明できるかどうかを考慮したうえで取り消しを判断するのが賢明です。

3.学生が病気やケガで働けなくなった場合

内々定者が通知後に何らかの病気やケガを抱えてしまい、入社しても想定していた業務に取り組めないことが明らかになった場合も、正当な理由として内々定を取り消せる可能性があります。

ただし、ケガや病気の程度によっては、工夫次第で支障なく業務に励めるケースもあるでしょう。例えば、足のケガをしていて出社ができなくても、リモートワークであれば問題なく業務を行えます。精神的な病気を患っている場合でも、薬をしっかり服用すれば働けるケースもあります。

ケガや病気による理由での内々定取り消しは、合理的な理由に基づくものかどうかを考慮したうえで判断しましょう。

4.業績悪化により企業が人を雇えなくなった場合

内々定を出した後に、会社の業績が悪化してしまい、内々定者を予定どおりに雇用できないケースもあります。
グローバル化にともない、企業の浮き沈みは年々激しくなっています。そのため、採用募集した段階では大量の新卒採用が妥当な経営状況だとしても、数ヵ月で激しい業績悪化に直面する企業も存在します。

業績悪化により、どうしても雇用する余裕がなくなってしまった場合は、内々定の取り消しも妥当と考えられます。
ただし、虚偽の業績悪化や、内々定を出した時点で業績悪化が予想されていた場合においては、内々定の取り消し後に問題となる可能性があるため、注意が必要です。

参考:「内々定」とは?内定との違いはなに?

人材の選び方

内々定を出す際に、企業側が十分検討しておくべきことに、人材の選び方が挙げられます。
自社に合った人物に内々定を出せるよう、人材を選ぶコツを学んでいきましょう。

選び方1:優秀で他社でも採用されそうな人材を選ぶ

企業の採用担当者としては、できるだけ内定辞退を避けたいと考えるのが一般的です。
しかし、内定辞退を恐れるあまり、優秀な人材へのアプローチを欠いてしまうのは消極的といえるでしょう。

内定を辞退する可能性のある人材でも、内々定の出し方やその後のフォローによっては、内定承諾の可能性を高められます。したがって、自社で活躍してくれそうな応募者に対しては、まず内々定を打診し、こちらの熱意を相手へ伝えることが重要です。

選び方2:少し劣っても確実に自社に入社してくれそうな人材を選ぶ

学歴や能力に突出した部分がない応募者でも、自社への入社意欲が高い人間であれば、採用を前向きに検討してみましょう。

内定を辞退しなさそうな人材を確保できれば、採用の手間やコストを抑えることができます。また、新卒であれば社会人スキルに学生間の差はほとんどないため、入社後の研修や実習により想像以上の成長を遂げる可能性もあります。

採用活動において、企業としては内定辞退率がどうしても気になる点です。優秀な学生へアプローチしつつも、必要な採用人数を確保する意識も同時に持つよう心がけましょう。

参考:人事は「超優秀だが、逃げる学生」と、「彼より劣るが、自社に確実に来る学生」どちらを採るべきか?の二律背反で悩んでいる【キャリア相談】|就活サイト【ONE CAREER】

まとめ

本記事では、内々定に関して、内定との違いや取り消しできるケースを踏まえて解説してきました。

新卒採用において、正式な採用オファーである内定通知は、10月1日以降と定められています。そのため、内定前に応募者へ採用意欲を伝える手段として「内々定通知」が多くの企業で活用されている状況です。

内々定に法的拘束力はないものの、合理的な理由なく内々定を取り消すことは、企業イメージを損なう可能性があります。学生の人生を左右する可能性もあるため、内々定を取り消す際は慎重な判断が求められます。

適切に内々定通知を活用することで、会社全体にプラスとなる新卒採用活動を展開していきましょう。

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