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コアコンピタンスとは?概要や条件、見極めるポイントなどを詳細解説!

本記事では、コアコンピタンスについて概要や条件、見極めるポイントなどを詳細に解説していきます。

コアコンピタンスとは

コアコンピタンス(core competence)とは、企業が持っている強みの中で中心的なものを指す用語です。「他社と比べて圧倒的に秀でている技術・特徴など」を呼ぶことが多いです。

参考:コアコンピタンスとは – コトバンク 

コアコンピタンスは、経営学者ケイリー・へメル氏、元ミシガン大学大学院教授C・K・プラハラード氏の著書『コアコンピタンス経営』で提唱されました。著書の中でコアコンピタンスは「他社が真似できない、圧倒的な能力」と定義されています。

コアコンピタンスの条件

コアコンピタンスの条件として、下記の5つが挙げられます。

  • 模倣可能性(Imitability)
  • 移動可能性(Transferability)
  • 代替可能性(Substitutability)
  • 希少性(Scarcity)
  • 耐久性(Durability)

模倣可能性(Imitability)

模倣可能性(Imitability)は、自社の技術・製品・サービスなどが他社に模倣される可能性のことです。簡単に真似される技術・製品・サービスは、コアコンピタンスではありません。高度な技術を用いた製品・サービスなら、模倣可能性は低くなります。

移動可能性(Transferability)

移動可能性(Transferability)とは、自社が保有する技術・ノウハウが幅広い製品開発に活用できる度合いを指します。特定の製品開発のみならず、汎用性の高い技術・ノウハウであれば、効率よく開発・製造を進められます。

代替可能性(Substitutability)

代替可能性(Substitutability)とは、自社の技術・能力・製品が別のものに置き換えられる度合いのことです。オリジナリティの高い独自の技術・能力であるほど、製品・サービスのシェアを拡大・維持しやすくなります。別の製品・技術で代替されるものは、コアコンピタンスとはいえません。

希少性(Scarcity)

コアコンピタンスにおける希少性(Scarcity)とは、マーケットにおける技術・製品・サービスの希少価値・珍しさを指します。日本で唯一の技術やニッチな産業の独自技術は、希少性を高く保持しやすいです。

また、希少性が高い製品・技術・サービスは、自然と模範可能性・代替可能性も満たせます。

耐久性(Durability)

耐久性(Durability)とは、自社の技術・製品・サービスがマーケットにおいて長期間優位性を維持できる度合いを指します。マーケットの変化に左右されずに、技術・製品・サービスの優位性を維持できれば、自社のコンピタンスとして確立できます。耐久性はコアコンピタンスの絶対条件です。いくら他の条件を満たせても、耐久性がなければ、コアコンピタンスとは呼べません。

コアコンピタンスを見極める方法

コアコンピタンスの見極めには、下記の手順を踏んで分析を行うのがおすすめです。

  1. 自社の強みを洗い出す
  2. 強みを評価する
  3. 強みを絞り込む

自社の強みを洗い出す

最初に自社の強みとなるものを洗い出していきます。技術や製品以外にも、企業文化・人材などもコアコンピタンスになり得ます。

ポイントは先入観を持たないことです。客観的に自社の強みを洗い出していきましょう。また、可能な限り「独自性」も意識してください。他社にない独自の技術やノウハウほど、コアコンピタンスになりやすいです。

強みを評価する

自社の強みを洗い出したら、次に評価を行っていきます。強みを評価する際は、先ほど解説した下記5つのポイントを中心に評価を行いましょう。

  • 模倣可能性(Imitability)
  • 移動可能性(Transferability)
  • 代替可能性(Substitutability)
  • 希少性(Scarcity)
  • 耐久性(Durability)

おすすめの方法は視覚的に整理していくことです。

  • 強みを記載したカードや付箋を振り分ける
  • 色分けしてホワイトボードにまとめる

等をすると、後で情報を整理しやすくなります。

強みを絞り込む

最後にどの強みをコアコンピタンスにするか絞り込みます。「将来的に伸ばしたい」「顧客にとってメリットが多い」等を基準に選択しましょう。また、経営方針・将来的なビジョンに照らし合わせるのもおすすめです。コアコンピタンスは自社の中核となる強みなので、最終的な絞り込みは、時間をかけてじっくり行いましょう。

コアコンピタンス経営とは

コアコンピタンス経営とは、自社のコアコンピタンスを把握した上で、優れた技術・能力を活用する経営戦略です。

記事冒頭で紹介した著書『コアコンピタンス』の中で、コアコンピタンス経営の条件は下記の通り定義されています。

  • 顧客に何らかの利益をもたらす能力
  • 競合相手に真似されにくい能力
  • 複数の商品・市場に推進できる能力

それぞれ詳細を確認していきましょう。

顧客に何らかの利益をもたらす能力

顧客にとって利益のある能力が、自社の売上に直結していきます。独自の開発力・技術力でありつつ、顧客に利益をもたらせる能力であるかの確認が重要です。

競合相手に真似されにくい能力

他社が簡単に真似できない高度な能力を、コアコンピタンスとして位置付ける必要があります。長年培ってきた技術力、独自の経営ノウハウなど真似されにくい自社能力を育てていくことが、コアコンピタンス経営を行う上で大切です。

複数の商品・市場に推進できる自社能力

複数の商品・市場に対して推進できる能力かの見極めも重要です。自社能力が特定の商品・市場に偏ってしまうと、市場変化・競合他社の成長に対応できない可能性があります。

コアコンピタンス経営の成功例

次に、コアコンピタンス経営で成功した企業事例について確認していきましょう。

富士フィルム

元来カメラフィルムの開発・製造開発・製造を行っていた富士フィルムですが、デジタルカメラやスマートフォンの普及によるカメラ用フィルムの需要激減に伴い、売上も減少しました。

しかし、フィルム開発・製造を通じて獲得した「マイクロレベルでの精密な開発力・調整力」と「フィルム用の高純度コラーゲンの生産技術」をコアコンピタンスに位置付けて、ヘルスケア分野への進出を介します。

例えばスキンケア化粧品「アスタリフト」の開発です。従来の、コラーゲン配合を謳うスキンケア化粧品の大半は、表面を潤すだけにとどまります。

一方、アスタリフトはミクロン~ナノレベルのコラーゲンを配合しているので、一部は肌の奥まで潤します。富士フィルム独自の強みで生産されたアスタリフトは、消費者から高い評価を得ることに成功しました。売上も堅調に伸び、現在では富士フィルムを支える中核商品にまで成長しました。

参考:「事業大転換」成功に必要なもの 富士フイルムCTO: 日本経済新聞 

ソニー

ソニーのコアコンピタンス「電子機器の小型化」で有名な商品は、1979年に誕生した「ウォークマン」です。

当時、小型の音楽プレイヤーはまだ登場しておらず、ソニー独自の希少性の高い製品として消費者から高い評価を得ました。

この小型化は、「大きなラジカセを持ち歩かずに外で音楽を聴くライフスタイルをつくった」(顧客に利益をもたらす能力)「発売時に競合が真似できない技術だった」(競合相手に真似されにくい能力)「ポータブルCDラジカセ、ポータブルMDプレーヤー、ポータブルテレビなど、他の製品や市場に横展開できた」(複数の商品・市場に推進できる能力)というコアコンピタンスの3要件を見事に満たしています。

セブンイレブン

大手コンビニチェーンとして確固たる地位を築いているセブンイレブンは、コアコンピタンスを活かした事業として「金融サービス事業」を展開しています。

セブンイレブンは全国に広がっている店舗・流通ネットワークを活用して、「セブン銀行」のATMを一気に全国展開しました。一般的には、一からATMを設置することは容易ではありません。

しかしセブンイレブンは、既存の店舗を活用し、効率よくセブン銀行を展開することに成功しました。これには、手数料収入や、ATM利用者の「コンビニでのついで買い」を促進できるメリットもあります。コンビニの展開力を活かした、通常の金融機関では真似できない戦略は、セブンイレブンならではのコアコンピタンスと言えるでしょう。

参考:曖昧な定義で使われがちな「事業シナジー」はいかに生み出されるのか:日経ビジネス電子版

ワコール

ワコールは日本を代表する衣料品メーカーです。

日本は海外と比較して、下着にこだわりを持つ女性が非常に多いと言われていますが、その文化を醸成したのがワコールだという説があります。

ワコール創業当初は、下着業界は非常にニッチな市場でした。

しかし、

  • 希少性の高い分野に特化した製品開発
  • 価値を伝える販売チャネルの絞り込み
  • 独自の販売方法を生み出す一貫性

これらをコアコンピタンスとして、確固たる地位を築き上げたのです。

「コアコンピタンス」と「ケイパビリティ」は異なる

コアコンピタンスの類似用語は「ケイパビリティ(capability)」です。ケイパビリティは「他社と比べて優れている組織的な能力、強み」を指し、経営戦略の構成において非常に重要な概念です。

参考:ケイパビリティーとは – コトバンク

ボストン・コンサルティング・グループに所属するジョージ・ストーク氏、フィリップ・エバンス氏、ローレンス・E・ヘルマン氏の3人が公表した論文『Competing on Capabilities: The New Rules of Corporate Strategy』の中、コアコンピタンスとケイパビリティは下記の通り定義されています。

  • コアコンピタンス:バリューチェーン上における特定の技術力・製造能力
  • ケイパビリティ:バリューチェーン全体に及ぶ能力

参考:Competing on Capabilities: The New Rules of Corporate Strategy  

ケイパビリティとコアコンピタンスの2つは、お互いに強く関係しあっています。

「コア・コンピタンス」は「価値提供」「模倣可能性の低さ」「応用性」の3つを満たす自社能力であるのに対し、ケイパビリティは「自社能力」と定義できます。つまり、企業が持つ多くのケイパビリティの中で、「価値提供」「模倣可能性の低さ」「応用性」を満たす自社能力のことを、コアコンピタンスを呼ぶのです。

まとめ

コアコンピタンスは他社にない自社独自の技術力・開発力などの強みを指します。コアコンピタンスを見極めて経営を行えば、競合他社に差を付けることが可能です。まずは自社のコアコンピタンスは何なのか、本記事で解説したポイントを参考にして頂き分析を進めてみてください。

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