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アサーションとは?企業が注目する理由や身につけるメリット、トレーニング方法

「アサーション」とは、相手の意見を尊重しつつ自分の意見も主張するコミュニケーション手法を指します。本記事では、アサーションが注目される理由や身につけるメリット、トレーニング方法などをまとめて解説します。

アサーションとは?

アサーションとは、相手の意見を尊重しつつ適切に自己主張するコミュニケーシ手法です。よりよい人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルの一つで、お互いを尊重しながらも適切な自己主張を目指します。

参考:アサーションとは-コトバンク

英語で「主張」などの意味をもつ「Assertion(アサーション)」が基になっており、元々心理療法や行動医学の用語として用いられてきました。現代社会では、企業や学校でも、アサーションスキルの習得トレーニングが実施されています。

参考:アサーションの意味・解説 思いやり重視「アサーション」 気持ち伝える練習学校で

アサーションが注目される理由

アサーションが企業で注目されている主な理由は以下の2つです。

人間関係やコミュニケーションが円滑になる

社会人になる様々な立場の人とのコミュニケーションが生じます。自己主張ができないと仕事に悪影響を及ぼし、ストレスにもなります。アサーションを身につけると自己主張が上手になり、良好な人間関係を保つことが可能です。併せて、パワハラなどハラスメントの防止、うつなどのメンタルヘルスの軽減といった効果も期待されています。

グローバル化の対策

グローバル化に伴い海外とのやりとりが増える一方で、外国人に遠慮しすぎる点が日本人特有の問題となっていました。

しかしアサーションスキルによって、外国人と対等に意見を交わすことができるようになる可能性が高くなります。

アサーションを身につけてコミュニケーションするメリット

アサーションの習得には以下のメリットがあります。

自分の伝えたいことを主張できる

相手の顔色を気にして自己主張できないのは、自身にもチームにも悪影響です。業務における気付きや改善点を主張することで、課題の明確化や生産性の向上が期待できます。

取引先と対等に話すことができる

取引先との対等やりとりはとても重要です。相手の言いなりは企業の損失につながる恐れもあります。アサーションスキルによって、相手を尊重しつつ、こちらの主張や代替案も伝えることが可能です。

取引先との対等な契約は双方にメリットがあり、Win-Winの関係を築くことができます。

相手を不快にさせずに断ることができる

断りたい頼み事でも「NO」と言えないとストレスや不満が溜まり、メンタルにも悪影響です。しかし断ると相手と関係性が悪化する可能性もあります。代替案を提示するなど、上手に断るテクニックが必要です。

アサーションでは、相手を不快にしない断り方も身につけられます。良好関係を保ちながらも問題解決が可能なのです。

社内コミュニケーションが活性化する

企業とっても、社内コミュニケーションが活性化するメリットがあります。これまでにないアイデアが創造されやすく、業績にも良い影響を与えるでしょう。

アサーションで目指すべき自己主張のタイプとは?

自己主張の方法は、以下の3タイプに分類されます。

  • アグレッシブ(攻撃的)
  • ノンアサーティブ(非主張的)
  • アサーティブ

それぞれは『ドラえもん』のキャラクターに例えられることが多いです。アグレッシブはジャイアン、ノンアサーティブはのび太、アサーティブはしずかちゃんに該当します。アサーションで目指すべきは、しずかちゃん(アサーティブ)タイプです。

アグレッシブ(攻撃的)

攻撃的で自己主張が強いタイプです。

  • 自分の言いたいことを口に出す
  • 要求を一方的に押し通す
  • 大声を出して話をする

アグレッシブタイプのメリットは、自分の意見をしっかりと伝えられる点です。しかし、他人に耳を傾けず、自分の要求を一方的に押し通すことから、衝突が起こりやすく、良好な人間関係を築くことは難しいタイプといえるでしょう。

ノンアサーティブ(非主張的)

非主張的で、アグレッシブとは真逆のタイプです。

  • 自己主張が苦手
  • 相手からの要求を受け入れてしまう
  • 相手を思いやる気持ちが強い

自分の意見を言わずに、相手の要求を受け入れるため、ストレスを抱え込みやすいタイプです。また相手を気にしすぎて主張できず、不利な要求を受け入れたり、上司の理不尽な言動に反抗できず心身ともに疲弊するケースなど、自己犠牲が多いタイプです。

アサーティブ

目指すべき自己主張のタイプです。アクティブとノンアサーティブの中間に位置します。

  • 自己主張ができる
  • 自分の意見を押し付けない
  • 相手の意見に耳を傾ける
  • 良好な人間関係を築くことができる

アサーティブは、相手の意見にも耳を傾けます。

また、不利な要求や理不尽な言動に対しては、上手に断ったり代替案を提示して、相手を不快にさせずに最適な結論を導き出すことが可能です。

お互いの意見を尊重しつつ、建設的な議論を進められることから、アサーティブは社会人にとってバランスのよい理想的なタイプといえるでしょう。

アサーションを実践するための心構え

アサーティブタイプのコミュニケーションスキルはトレーニングで習得可能ですが、

一朝一夕で身につくものではありません。中長期的な目線で実施しましょう。

アサーションの基本となる考え方は「アサーティブ・マインド」と呼ばれる4つの心構えで成り立ちます。

  • 率直に伝える
  • 誠実さをもつ
  • 対等な立場を意識する
  • 自己責任

率直に伝える

意見や主張は率直に伝えることが重要です。回りくどい言い方をしては真意が伝わりにくいです。「みんながこう言っています」など、自分の言いたいことを第三者に代弁させるのは辞めましょう。

誠実さをもつ

自分の感情に嘘をつき、相手に合わせるのはやめましょう。自分の心にも、相手にも嘘をついてはいけません。まずは自分自身に誠実であることが大事です。

対等な立場を意識する

相手の意見も尊重しつつ、自分の意見も伝える対等な関係を意識しましょう。相手が誰であれ、自分のスタンスを変えずに堂々とすることです。振る舞いだけでなく、心のなかでも対等になりましょう。対等に振る舞っても、心中で相手を見下してはアサーティブではありません。

自己責任

他責思考は辞め、自分の行動には自分で責任をもちましょう。自己主張による結果は全部自分の責任です。相手の落ち度が大きくても、多少なりとも自分の責任もあるはずです。

アサーショントレーニングの方法

反復練習により、少しずつアサーティブなコミュニケーションができるようになります。

トレーニングのポイントや方法を確認しておきましょう。

アイメッセージを使う

「アイメッセージ」とは、自分自身を表す「I(アイ)」を主語にしたコミュニケーション手法です。主語を「私」にすることで非攻撃的な言い方ができます。

例えば「あなたの考えは間違っている」では相手を否定することになりますが「私は○○だと思います」と言えば相手直接否定することにはなりません。

お願いの表現を使う

「〜すべき」「〜しなさい」などの断定、命令的な口調では辞めましょう。

「〜してほしい」「〜してください」というお願いの表現を使えば、意見の対立を防げます。

DESC法を利用する

「DESC法」とは、4つの段階に分けて相手に物事を伝えるコミュニケーション手法です。相手に状況を納得させつつ、自分の主張を伝えることが可能です。4つの段階は以下のとおりです。

  • Describe(具体的な描写):現状や問題点を客観的且つ具体的に伝えます。
  • Explain(自分の気持ちの説明):「Describe」で伝えた事柄に対する自分の感情を説明します。
  • Specify(提案):具体的且つ現実的な解決策を相手に提案します。
  • Choose(選択):断れる場合を想定し、他の選択肢や代替案を示すことで、よりスムーズなコミュニケーションが可能です。

DESC法を用いた事例

「長時間労働になる作業の効率化を上司に提案するシーン」を例に挙げて確認しましょう。

  • Describe(具体的な描写):現在の状況として「作業を行うチーム内のメンバー全員が長時間労働になっている」との事実を上司に伝える。
  • Explain(自分の気持ちの説明):事実に対して「一人当たりの工数削減のため増員したい。しかしすぐには難しいと思うので、まず作業効率化を図りたい」との自分の気持ちを上司に説明する。
  • Specify(提案):長時間労働の解決策として「作業効率化ツールを導入し、できる限り自動化したい」との具体的な解決策を上司に提案する。
  • Choose(選択):提案が拒否される場合を想定し、「作業の一部を他チームの委託する」「1日あたりの上限労働時間を設ける」など、別の選択肢も用意しておく。

自分の意見はきちんと主張しないと相手に伝わりません。しかし一辺倒な伝え方では「この人は他人の意見に耳を傾けないから何を言っても無駄だ」と思われてしまいます。

上記の例では、DESC法を使うことで、上司とうまく折り合いを見つけることができるのです。

参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/b8c624401a3e311f8212d8fbd07c82de470bade1

ロールプレイを行ってアサーションを身につける

トレーニングではロールプレイングもよく行われます。依頼者と依頼される人、観察する人の3人1組で行いましょう。

終わったら自分が伝えられたか(行為者)、行為者から伝わってきたか(相手役)、客観的に見て伝わっていたか(観察者)でお互いにフィードバックをし合いましょう。異なる視点から検証することで、伝え方のクセが見えてくるようになります。トレーニングで少しずつ自信がつくと、場の空気を読みすぎることなく、適切な自己主張ができるようになるのです。

参考:私たちの講座について場の空気を読みすぎる自分 「いい人」をやめるには?

アサーションを身につけて上手なコミュニケーションを目指そう

アグレッシブやノンアサーティブタイプ人は、職場内や取引先とのコミュニケーションがうまくできない可能性があります。アサーションスキルは、習得すると人間関係やコミュニケーションが円滑になるため、個人にも企業にもメリットが多いです。また、ハラスメント防止や働きやすい職場環境の構築にも役立つことが期待されています。アサーティブなコミュニケーションを意識して上司や取引先と良好な関係を築きましょう。

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