1on1は、上司と部下による面談という形式から「人事評価面談」と混同されがちです。しかし、1on1と人事評価面談では、目的や主体者、開催頻度などに大きな違いがあります。
とはいえ、1on1では部下の価値観や業務に対する考えを、対話を通じて聞き取れるため、それを評価に反映できると考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、1on1と人事評価の違いや、1on1を評価に活用する際の注意点を解説します。
1on1とは
1on1とは、上司と部下が1対1で定期的に行う面談です。日々の業務だけではなく、部下の考えや感じていることをじっくりと聞くための時間として活用できます。
人事評価面談との違い

1on1は、上司と部下による面談という点では「人事評価面談」と似ているように感じるかもしれません。しかし、この2つには目的や進め方などに大きな違いがあります。
| 1on1 | 人事評価面談 | |
|---|---|---|
| 目的 | 部下との信頼関係の構築、成長支援 | 昇進や異動などを目的とした人事評価 |
| 主体者 | 部下 | 上司 |
| 開催頻度と時間 | 週1~月1回、30分程度 | 年1~2回、1時間程度 |
| 話す内容と雰囲気 | 業務上の悩みやキャリアの話、雑談などをカジュアルに話す | 業務成果や課題を中心に、フォーマルな雰囲気で話す |
それぞれの違いについて、以下で詳しく解説していきます。
目的の違い
1on1の主な目的は、部下の成長を支援し、信頼関係を築くことです。日常の業務だけではなく、キャリアや悩みにも寄り添いながら、長期的な成長へとつなげていきます。
一方で、人事評価面談の目的は、部下の業務成果や行動を評価することにあり、昇進や異動、査定といった人事上の判断材料として位置づけられます。
主体者の違い
1on1では、部下が主体となって話すことが多く、上司は聞き役に回るのが基本です。部下が自由に話せる場をつくることで、本音を引き出しやすくなります。
一方、人事評価面談では上司が主導権を握り、評価結果を伝えたり、改善点をフィードバックしたりする形式で進められるのが特徴です。上司から部下への一方向的なコミュニケーションになる傾向があります。
開催頻度と時間の違い
一般的に1on1は、週に1回から月に1回など、比較的高い頻度で行われます。1回あたりの時間は30分程度と短めで、継続的に対話を重ねるスタイルです。
それに対して、人事評価面談は年に1〜2回と頻度が少なく、1回あたりの時間は1時間程度とやや長くなります。年度初めや下期の開始時期など、重要な節目で実施されることが多いです。
話す内容と雰囲気の違い
1on1での話題は、業務の進捗や悩みはもちろん、キャリアの希望や雑談など多岐にわたります。リラックスした雰囲気で行われることが多く、日常的な対話に近い形です。
一方、人事評価面談では、評価対象期間の成果や課題について話すことが中心となり、フォーマルで緊張感のある雰囲気になる傾向があります。
1on1は評価・査定の場ではない

1on1は、評価や査定を目的とした場ではありません。上司と部下が対話を通じて信頼関係を築き、部下の成長を支援することが主な目的です。
そのため、1on1を業績評価の場として扱うことは基本的には推奨されていません。評価を前提にした場にしてしまうと、部下が本音を話しづらくなり、1on1本来の効果を得られないからです。
1on1の実施前には、話した内容が人事評価に影響することはないと部下に伝えておく配慮が必要です。部下が安心して話せる場をつくることが、信頼関係の構築やエンゲージメントの向上につながります。
とはいえ、1on1を通じて得られた部下の考え方や業務への向き合い方などは、日々のマネジメントにおいて有益な情報となります。結果として、評価の際の参考材料となるケースもあるでしょう。
次の項目では、1on1を評価に活かす際の注意点について詳しく解説します。
1on1を評価とつなげる5つの実践ポイント

先述のとおり、1on1をそのまま人事評価の場とするのは望ましくありません。ただし、1on1を通じて得られた気づきや情報を、適切な形で人事評価に活かすことは可能です。
具体的な方法としては、以下の5つが挙げられます。
それぞれの詳細や注意点を詳しく解説します。
目標を再確認する
1on1を評価に活かすためには、まず部下と設定した目標を定期的に見直すことが重要です。目標を設定したまま、確認や対話が行われない状態が続くと、評価のタイミングで「その目標だったのか」といった認識のずれが明らかになることがあります。
こうした評価における「すれ違い」は、多くの場合、目標設定の段階から始まっています。
目標は設定しただけで完了するものではなく、その後の意識づけや進捗確認、期待値の調整といった継続的なコミュニケーションが欠かせません。これらのプロセスを定期的に行う場として、1on1は非常に有効です。
上司と部下の間で目標に対する理解や期待をすり合わせておくことで、評価時にギャップが生じるリスクを減らせます。日常的に目標を共有・確認することが、納得感のある評価につながるでしょう。
主体的な課題や目標を設定する
1on1では、部下に対して業務に関するフィードバックを行うことが重要です。たとえば、達成できている点や今後の課題について伝えたうえで、部下自身に次の目標や取り組み方を考えてもらうことで、主体的な成長を促せます。
また、部下が抱えている課題に対して、上司が一方的に答えを与えるのではなく、必要なサポートを行いながらも、あくまで部下自身に考えさせる姿勢を大切にすることが重要です。
こうした対話を通じて、業務はもちろん、キャリアに対しても自分で考え行動する力が養われていきます。
このような主体的な取り組みは、単なる成果だけではなく、評価においても前向きな姿勢として捉えられやすくなります。
部下のキャリアデザインや価値観を把握する
1on1は、部下のキャリア観や仕事に対する価値観を知る貴重な機会でもあります。
日々の業務のなかでは見えにくい「将来どうなりたいか」「何を大切にして働いているか」といった内面的な部分を把握することで、より適切な評価や配置、成長支援につなげられます。
上司がこうした背景を理解していると、部下との信頼関係が深まり、部下自身の納得感やモチベーションの向上にもつながります。評価においても、その人なりの努力や姿勢を汲み取る視点を持てるでしょう。
評価の納得度や正確性を高める
人事評価面談は年に1〜2回という限られた機会で行われるケースが多く、短時間の面談だけで部下の努力や成長の過程まで正確に把握するのは容易ではありません。そのため、1on1でのやりとりを日頃から記録・蓄積し、人事評価のタイミングで振り返ることが重要です。
1on1を通じて、部下がどのような課題に向き合い、どのように成長してきたのかといったプロセスを可視化しておくことで、評価の背景が明確になり、納得感や信頼性の高い評価につなげられます。
こうした積み重ねが、成果だけに偏らない、公平でバランスの取れた評価を実現する基盤となります。
組織の目標やビジョンを伝える
1on1は、部下の話を聞くだけではなく、組織としての目標やビジョンを伝える場としても活用できます。
日々の業務に追われるなかで、部下が会社の目指す方向性を意識する機会は限られがちです。1on1で部下の価値観や考え方を受け止めたうえで、会社が求める人物像や行動の方向性を伝えることが、自然なすり合わせにつながります。
たとえば「新しいアイディアの創出」を重視している会社において、部下が「自分はコツコツと日々の業務をこなすことに価値を感じている」と話したとします。その場合、まず考えを否定するのではなく、その姿勢をしっかりと認めることが重要です。
そのうえで「日々の業務で気づいたことがあれば、ぜひ共有してほしい。それが自社が大切にしている『アイディアの創出』につながる」と伝えると、部下の価値観を尊重しながら、会社のビジョンと無理なく結びつけられます。
このような対話を重ねることで、部下の行動や意識に自然と変化が生まれ、組織の方向性との整合性が高まります。
1on1を人事評価に活用するためのコツ

1on1を人事評価に活かすには、日々の運用のなかでいかに適切な情報を引き出し、活用できる状態にしておくかがポイントです。評価を前提とした面談ではないからこそ、自然な会話のなかで得られる部下の思考や姿勢をどう扱うかが重要となります。
一方で、1on1の本来の目的である成長支援や信頼構築の姿勢を忘れてしまうと、部下が評価を意識して発言を控えたり、本音を言えなくなったりするおそれがあります。
1on1で得られた情報を評価と適切に結びつけるためには、以下の3つのポイントを意識することが効果的です。
それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。
部下の話を傾聴する
1on1では、上司が一方的に話すのではなく、部下が主体的に話せるように促すことが大切です。指示やアドバイスばかりが続いたり、説教のような語り口になったりすると、部下は「評価されている」と感じて本音を言いづらくなりがちです。
その結果、部下がどのような価値観を持ち、どのような思いで業務に取り組んでいるのかが見えなくなりかねません。
とはいえ、上司がただ黙って聞いているだけでは、部下の思考を深く掘り下げることができず、表面的なやりとりにとどまってしまう可能性もあります。
部下が話しやすい雰囲気をつくりつつ、上司は適切な問いかけや要点の整理などを通じて、対話を支援する役割を担うことが求められます。
理想的な会話のバランスは、上司が2割、部下が8割程度が目安です。上司は話すことよりも聴くことに重点を置きながら、部下の内面や考えを自然に引き出すことを意識するとよいでしょう。
1on1の目的を見失わない
1on1の目的はあくまで部下の「成長支援」です。しかし、評価に必要な情報を聞き出したいという思いが強くなりすぎると、つい質問攻めになったり、業務やキャリアの話だけに偏ったりします。これでは、部下は「評価されている」と感じて構えてしまい、自由に話せません。
さらに「こうすれば評価が上がる」「このままでは昇進は難しい」といった言葉が繰り返されると、1on1が評価の場のように受け取られ、部下が萎縮してしまうおそれもあります。
1on1の本来の目的を上司自身が見失わずに運用することが、部下の信頼を得るためにも非常に重要です。
そのためには、企業としても1on1の目的や位置づけを明確にし、上司が誤った運用をしないよう、研修や社内通知などを通じて継続的に理解を促す必要があります。人事部門が制度の意図や運用ルールを丁寧に伝えることで、1on1の質向上と、評価との適切な接続を実現しやすくなります。
支援ツールを利用する
1on1は限られた時間のなかで行われるため、部下の本質や内面を深く理解することは容易ではありません。そこで有効なのが、1on1支援ツールの活用です。
たとえば、部下の性格や価値観、コンディションなどを可視化できる機能を取り入れることで、目標設定や話題選びの精度が高まり、より的確な対話につなげられます。
また、対話をしながら内容を正確に記録するのは容易ではなく、記憶やメモだけに頼ってしまうと情報が曖昧になったり、抜け漏れが発生したりするリスクがあります。
記録の不正確さは、部下との信頼関係を損なうだけではなく、誤った評価につながるおそれもあるため、極力避けなければなりません。
文字起こしや要約などの記録機能が備わったツールを活用すれば、1on1の内容を客観的かつ正確に蓄積でき、あとからの振り返りや評価への活用にも役立ちます。ツールを上手に取り入れることで、上司の負担を軽減しつつ、1on1の信頼性と活用度を高めましょう。
1on1を活用して、公正で納得感のある評価を実現しよう

1on1は評価や査定を目的とした場ではなく、部下の成長を支援し、信頼関係を築くための時間です。本音を引き出しやすい場だからこそ、1on1を通じて得た情報は、部下の努力や個性を正しく理解する手がかりになります。
ただし、1on1の内容をそのまま評価に結びつけるのは望ましくありません。目標の再確認やキャリアの希望、日頃の取り組みの姿勢などを自然にすり合わせる場として活用し、公正で納得感のある評価につなげることが重要です。
1on1をサポートするツールを取り入れることで、部下への理解を深めやすくなり、対話内容を適切に評価や育成に活かせるでしょう。
「ミキワメ マネジメント」は、科学的なアセスメントにより部下の性格や状態を可視化し、それらに応じた関わり方の方向性を提示します。1on1の対話内容を記録・蓄積する機能も備えており、過去のやりとりを振り返りながら、継続的なコミュニケーションや評価の裏付けとして活用することが可能です。
ミキワメ マネジメントの活用により、1on1の質を高めながら、公正で信頼性のある評価を実現できます。ぜひ、導入をご検討ください。
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