1on1

1on1を効果的に進めるには?部下の成長と信頼を引き出す7つのポイント

1on1とは、部下の成長支援を主な目的として実施される一対一の対話です。人的資本経営の重要性が高まるなか、部下の価値観を把握し、個々の能力を最大化させる場として不可欠なものとなっています。

しかし、単に会話を重ねるだけでは、ただの雑談で終わってしまったり、部下の本音を引き出せなかったりすることもあります。1on1を効果的に運用するためには、面談の目的や進め方をあらかじめ設計しておくことが重要です。

今回の記事では、1on1を効果的に進めるために必要な知識や注意点について解説します。

1on1とは

1on1とは、上司(もしくはメンター)と部下が一定の頻度で行う一対一の対話を指します。

対話を通じて信頼関係を構築し、企業としての目標を達成するために、個人がどのような行動をとればよいかをともに考え、成長を支援します。個人の成長を通じて企業の持続的な発展につなげることが、1on1の本来の目的です。

1on1の具体的な効果

1on1を単なる面談で終わらせず、目的を持って丁寧に実施することで、組織と個人の双方に以下のようなポジティブな変化が期待できます。

それぞれの効果について詳しく解説します。

信頼関係が構築される

上司と部下が一対一で向き合い、カジュアルでリラックスした雰囲気のなかで話し合うことで、信頼関係が自然と築かれていきます。業務上の悩みやキャリアの不安なども話しやすくなり、1on1以外の場面でも気軽に相談できるようになります。

その結果、部下の意欲向上やメンタルの安定にもつながり、組織全体のコミュニケーションの質が高まるでしょう。

部下の成長を支援できる

1on1では、業務の進捗や取り組み方を確認しながら、目標の設定や達成に向けた具体的な行動を一緒に考えることができます。単なる指示や評価の場ではなく、部下に寄り添い、成長を後押しする機会となるため、上司からの支援を実感しやすくなります。

「自分はきちんとサポートされている」と感じることで、安心感が生まれ、モチベーションが高まりやすくなる点もメリットです。その結果、日々の業務への主体的な取り組みや、新たなスキルの習得にも意欲的になります。

離職防止につながる

部下の小さな変化にいち早く気づける点は、1on1の大きなリスクマネジメント効果です。仕事やプライベートに関する悩みを気軽に相談できる時間を設けることで、リモートワーク下などで生じやすい孤立感を解消できます。

対話を通じて上司がパフォーマンスの低下やメンタル面の不調を早期に把握し、適切なフォローやメンタルケアを行えるため、メンタル不調による休職や早期離職を未然に防げるでしょう。

1on1を構成する要素と失敗例

1on1は、以下の4つの要素で構成されています。

これらの要素を意識せず、1on1を場当たり的に進めてしまうと、期待した効果が得られないばかりか、部下を萎縮させてしまいかねません。ここでは、各要素の詳細と、よくある失敗例について具体的にご紹介します。

目標

1on1の土台となるのが「目標」の共有です。人事評価面談などで設定した目標を振り返り、以下の点を確認します。

  • 企業の方針と個人の目標が合致しているか
  • 現在の達成度はどの程度か
  • 目標達成に向けて、具体的にどう動くべきか

上司と部下の間で目標の再確認と意識の統一を図り、共通のゴールを見据えることで、より効果的に日々の業務へ取り組めるようになります。

失敗例

「目標」を意識せずに1on1を進めると起こりうる問題は以下のとおりです。

  • 悩み相談や雑談に終始してしまい、本来の目的を見失う
  • 部下と組織の目標にずれが生じる

たとえば、上司が目標設定を曖昧にしたまま面談を続けると、1on1が単なる雑談の場になってしまいます。また、部下が目指す方向性と組織の期待する人物像がかけ離れてしまい、人事評価で十分な評価が得られず、不満を感じる原因になることもあります。

関係

1on1において、上司と部下の「関係性」はすべての対話の前提となります。良好な関係が築けていれば、部下は安心して意見や悩みを口にできるようになり、風通しの良い職場づくりにもつながります。

失敗例

「関係」を意識せずに1on1を進めると、以下のような問題が起こります。

  • 部下が萎縮してしまい、悩みや意見を口に出せなくなる
  • 部下が1on1を避けるようになり、制度そのものの継続が難しくなる

信頼関係が十分に築けていない状態で1on1を行うと、部下は「評価される」「叱られる」といった不安を感じやすくなります。

その結果、率直な対話が生まれず、1on1の場がストレスとなってしまいます。こうした状態が続くと、1on1自体が形骸化し、制度としての信頼性も失われかねません。

思考

1on1は、上司が答えを教える場ではなく、部下の「思考」を促す場です。上司は傾聴と適切な問いかけを行い、部下が自ら課題解決の糸口を見つけられるようサポートします。

失敗例

「思考」を意識しないと、以下のような問題が起こるおそれがあります。

  • 上司が先に答えを出してしまい、部下が考える余地を失う
  • 「自分で考えて」と丸投げし、部下に過度な負担をかけてしまう

上司が一方的に話すことで、部下は自ら考える機会を奪われ、主体性が育ちません。一方で、すべてを部下任せにすると、支援がないままプレッシャーだけがかかり、かえってストレスを感じさせてしまう可能性もあります。

部下が自分の言葉で考え、気づきを得られるよう、上司は適切な問いかけや関わり方を意識することが大切です。

行動

対話で得た気づきを、具体的な「行動」に落とし込みます。次回の1on1でその進捗を振り返るというサイクルを回すことで、部下は着実な成長を実感できます。上司には部下の主体的な行動を支援し、向上を促す役割を果たすことが求められます。

失敗例

「行動」を意識せずに1on1を進めると、以下のような問題が起こります。

  • 具体的な改善につながらず、1on1が形骸化してしまう
  • フィードバックが行われず、部下のモチベーションが下がる

1on1のなかで行動を明確にしないまま終わってしまうと、面談を重ねても実際の変化を感じられず、やがて形だけの実施になってしまいます。また、アクションに対するフィードバックがない場合、部下は努力が正しく評価されていないと感じやすく、やる気の低下や不信感にもつながりかねません。

1on1は継続的な行動と振り返りを通じて、はじめて効果を発揮するものです。

1on1の効果を高めるための7つのポイント

1on1は、上司と部下のコミュニケーションを強化し、部下の成長を支援するために重要な施策です。しかし、先述のとおり、1on1に対する知識や理解が不十分なまま実施すると、形骸化しやすく、単なる雑談や業務報告の場になってしまうおそれがあります。

1on1の効果を高めるために重視すべきポイントは以下の7つです。

それぞれ詳しく解説します。

目的・目標を明確にする

目的や目標が曖昧なまま1on1を実施してしまうと、単なる業務の進捗確認や雑談で終わり、期待する効果を得られないおそれがあります。

とくに、上司と部下で1on1に対する認識がずれている場合、「結局何のための時間だったのかわからない」という状態に陥りかねません。

まずは「1on1とは何か」「なぜ行うのか」といった基本的な目的を上司・部下の双方が共有し、その意義や重要性について理解を深めておくことが重要です。

目的が明確だと、1on1の時間をより有意義に活用でき、部下の成長や関係性の向上といった本来の効果につなげられます。

部下との信頼関係を構築する

そもそも、上司と部下の間に信頼関係が築けていない状態では、1on1を実施しても部下は萎縮しやすく、本音を語ることができません。対話の場で本音を引き出すには、安心して話せる関係性が前提となります。

そのためには、日常の業務においても部下に積極的に声をかけ、小さな対話の積み重ねを意識することが大切です。

1on1の場だけで信頼関係を築こうとするのではなく、平常時からコミュニケーションを取っておくことで、部下も心を開きやすくなり、より実りある1on1が実現します。

部下の性格やパフォーマンスに合わせて対話内容を設定する

部下の性格や心理状態、業務のパフォーマンスに応じて、1on1で話す内容や対話の進め方を調整することが大切です。画一的な進行では、本来の目的である成長支援や信頼関係の構築がうまく機能せず、逆にプレッシャーや不信感を与えてしまうおそれがあります。

たとえば、キャリアアップに意欲的な部下には「今後挑戦したい業務はあるか」「どのようなスキルを伸ばしたいか」といった前向きな目標やキャリアビジョンに関する話題が効果的です。

対して、消極的で自信を持てていない部下に対しては、いきなり目標を求めるのではなく、「最近の仕事でうまくいったこと」「周囲のサポートで助かったこと」など、日々の出来事を振り返りながら安心して話せる雰囲気をつくることが重要です。

部下一人ひとりの状況に合わせて対話を設計することで、無理なく本音を引き出し、前向きな行動につなげられます

1on1で話すべきテーマについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

部下が「主役」であることを意識する

1on1において主役となるのは部下です。上司が話の中心になってしまうと、部下は受け身になりやすく、1on1本来の目的である「自発的な気づき」や「思考の深まり」につながりにくくなります。

たとえば、部下がある課題に対して「なんとか頑張ります」と口にした場合、すぐに助言や方向性を提示すると、部下は考えを軽視されたように感じることがあります。

「そう言ってくれているけれど、何か気になることがあるのかな?」「もし不安なことがあれば、一緒に整理してみようか」など、気持ちに寄り添いながら自然に深掘りできる問いかけが有効です。

上司に求められるのは、答えを与えることではなく、部下が安心して自分の考えを掘り下げられるような環境づくりです。焦らずじっくりと対話を重ねることで、部下が自ら考え、行動につなげていく力を育めます。

ネクストアクションを具体的に設定する

1on1は対話だけで完結するものではなく、そこから「具体的に何をするか」に落とし込むことが重要です。

対話を通じて得られた気づきや整理された課題をもとに「次回までに取り組むこと」や「まずは試してみること」など、実行可能なアクションを明確に設定しましょう。

また、次回の1on1では設定したアクションに対してフィードバックを行い、どの程度実践できたかを一緒に確認します。必要に応じて、行動の見直しや新たな目標設定を行うことも効果的です。

アクションが曖昧なまま終わってしまうと、1on1が「話して終わり」になり、部下の成長や業務改善にはつながりません。小さな一歩でも明確に言語化することが、継続的な変化と成果への第一歩です。

1on1の記録を蓄積し、モニタリングをする

上司は、部下との対話内容を正確に記録し、次回の1on1やネクストアクションの振り返りに活用することが大切です。記録を残すことで、部下の変化や成長のプロセスを追いやすくなり、一貫性のある支援が可能になります。

また、組織全体としても、1on1の実施状況を把握することが重要です。たとえば、開催回数(量)や目標の達成度、アクション設定の具体性(質)といった観点でモニタリングを行うことで、単なる実施の有無にとどまらず、1on1の中身を評価できます。

このようなデータを蓄積・分析すると、個人の対応だけではなく、上司ごとのマネジメントスタイルや部署ごとの課題を可視化し、組織的な改善につなげられます。

支援ツールを導入する

効果的な1on1を継続していくためには、個人の経験や勘に頼るだけでなく、テクノロジーを活用したサポートも有効です。

たとえば、部下一人ひとりの性格傾向や行動特性をあらかじめ把握できる診断機能があれば、話し方や接し方の工夫がしやすくなり、対話の質を高められます。

また、過去の記録を蓄積し、ネクストアクションの進捗を振り返ることで、対話に一貫性が生まれます。「前回の話を覚えてくれている」という事実は、部下にとって大きな信頼感につながるでしょう。

さらに、対話中の声かけや質問の仕方について、状況に応じたアドバイスが得られる機能があれば、1on1に不慣れな上司でも自信を持って対話に臨めます。

組織全体としては、1on1の実施頻度や内容の傾向をデータ化することで「どの部署で対話が停滞しているか」「マネジメント上の共通課題は何か」を客観的に把握し、早期に対策を講じることが可能になります。

このように、支援ツールの導入は単なる効率化にとどまりません。上司の心理的負担を軽減しながら、組織全体のマネジメントレベルを底上げするための有効な手段となります。

明確な目標設定と部下に合わせた対話で1on1の効果を高めよう

1on1は、部下の成長支援やメンタルケアを通じて、生産性の向上を目指す重要な人事施策です。

1on1を効果的に進めるためには「目標」「関係」「思考」「行動」の4つの要素を意識し、目標や対話内容の設定、部下の主体的な思考の支援、具体的なネクストアクションの提示を行うことが欠かせません。

ミキワメ マネジメント」では、部下の性格やコンディションに合わせた会話内容の設計や、具体的なネクストアクションの提案が可能です。

さらに、1on1の目標設定や対話内容の記録、振り返りを一元管理し、ログとして蓄積・整理するため、個人任せにせず、組織全体として1on1を効果的に運用できます。

1on1の形骸化を防ぎ、継続的に成果につなげていくためにも、ミキワメマネジメントの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

1on1の型化と改善で社員の成長と成果を最大化

ミキワメAI マネジメントは、社員の性格・心身状態・目標進捗を踏まえて最適なマネジメントを提供する1on1ツールです。詳細は下記から。