適性検査

生みの親 曽和利光が適性検査「キャリアベース(現:ミキワメ)」に込めた想い(前編)

※本記事は、2019年9月に公開された記事を転載したものです。

このたび、曽和利光氏が当社リーディングマークの顧問に就任した。
曽和氏といえば、企業人事部の採用コンサルスペシャリストとして大変高名であり、また先日当社が吸収合併した株式会社キャリアベースの創業メンバーでもある。
そんな曽和氏が、適性検査キャリアベースと、そこに込めた思いを、リーディングマーク代表取締役の飯田に語った。

※2020年4月より、「キャリアベース」は「ミキワメ」へと名称を変更し、サービスも大幅にアップデート致しました。
従来の適性検査のみを行う検査サービスではなく、その先の検査結果の分析を自動で行い、ひと目で「自社の社風と候補者が合っているのか」を見極めるクラウドサービスとなっております。
本記事執筆時は、キャリアベースとしてご提供をしておりましたが、現在は名称やサービス内容が一部変更となっております。

採用から会社を変える組織開発クラウド「ミキワメ」については
こちら:https://mikiwame.com/

キャリアベース誕生の背景

飯田)まずは、キャリアベースを作ろうと思った背景を教えてください。

曽和)採用市場の非効率性が一番でした。現在、大企業の採用合格率は、1%前後と言われています。某大企業の採用合格率は2500倍、0.04%くらいの数字になります。東大合格率でも3倍なのに、採用合格率はなぜそんなに低いのかと大変驚きました。

採用合格率のあまりの低さに疲弊し、自信喪失、無気力に陥る就活生が多く見受けられます。同時に「就活自殺」という言葉まで聞くようになりました。この就活をとりまく環境は、これから意気揚々と社会に出て頑張ろうという学生にとって、とても気力を損なわれるものだと思いました。

生身の就活生と直接話す中で、人事採用コンサルをしていた時よりも、就活生を取り巻く状況がより一層害悪であると鮮明に感じ、なんとかしなきゃ!と思ったのが最初です。 ですので、就活生側、採用応募者の視点から、キャリアベースを作ろうと思ったのです。

大企業の選考は依然「超」買い手市場

飯田)就活をする学生にとって、就活の仕組みが非効率であるということは=無駄が多い、ということですね。

曽和)最近は、就活は売り手市場という報道もあります。就活生にとってはポジティブな情報であり、自信が持てます。

たしかに、平均的には売り手市場です。しかし大企業は人気が高く、ほとんどが買い手市場ですが、その部分は報道されません。このようなギャップがあるので、就活生は実際に応募しても内定を獲得できず、ショックを受けて自信喪失する傾向があります。

飯田)企業側から見ると採用活動は非効率で、自社に合う人を効率的に選ぶのが難しいですが、逆に学生側も、大企業や人気企業を受験しても内定が獲得できず、どうすればいいかわからない。双方ともに課題がありますね。

なぜ学生は大企業に入りたがるのか/キャリア選択で「軸を作る」難しさ

飯田)曽和さんが、上智や早稲田の学生と直接関わる中で感じた、学生の悩みのポイントはなんでしょうか?

曽和)明確な軸がないことですね。学生が、とにかく人気企業や大企業に入りたいというのは、彼らにはこの「軸」がないからです。「軸」がないというと、悪いことに取られがちですが、そういう事ではないです。

現在のキャリア教育では、キャリアデザインするようにばかり言われているので、学生側にまだその軸がないも関わらず、まず軸を作れと言われます。

軸を作れと言われる事で、学生には新たな悩みが生まれます。それが、どの企業を受けていいかわからない言う事。なぜなら、選べる軸としてわかりやく存在するものが、「業界」や「職種」といったものくらいしかないからです。

本来は、その人の持ち味、個性、人格といったパーソナリティ軸で、受験しようとする企業や環境との相互関係に合致するかを判断する必要があります。しかしこのパーソナリティ軸を、基準として提示している企業がないのが現状です。よって学生は、わかりやすく存在する「軸」で受験を決めています。

「業界」より「自分に合うか」の軸で仕事を選ぶ

飯田)本来であれば、自分のパーソナリティにあった仕事を選べばいいですよね。

曽和)はい、学生の言葉で言うのであれば、「自分と合っている」、「フィーリングが合う」また「社風が合う」などと表現します。それをキャリアベース的に言うと、「パーソナリティが合致している」ということです。その軸を打ち立てることができれば、社会は確実に良くなると思いましたね。

でも、逆に軸がないからこそ、これだけ変化の激しい世の中で、とりあえず目の前にきたチャンスに自分のもつ力を何か役に立てそうだったらやってみる!ということもある。キャリアにおける最近の学生のオープンマインドなノリの良さは、可能性が開かれていて良いとも思います。

飯田)そもそも就労経験もない中で、自己分析、業界研究をしろと言われても、何をすればいいかわからないのが学生のほとんどであり、それはある種、自然なことであると思います。

キャリア教育における「自己分析」のワナ

曽和)自己分析は確かにした方がいいと思います。
学生と話したり聞いたりしてみるうちにわかった事ですが、やりたい事とできる事があった時に、彼らは自分がやりたい事を考えます。やりたい事が多い、これもいいし、あれもいいし、といったように、やりたい事の分析ばかりを語るのです。

ただ、そのやりたい事というのはまだ成熟する前の、例えていうなら星になる前のガスの塊くらいの状況です。その一方で、どちらかというと出来ることに分類されるパーソナリティは、大学生くらいになるとだいぶ出来上がっています。

性格能力はできる事、志向・価値観がやりたい事です。現在のキャリア教育では、「自己分析」として志向・価値観を分析し、それによって受ける会社を決めるというのが暗黙的に前提とされていますね。でもそれは結果として、就活においてはとても難しいのです。

飯田)キャリア選択、企業を選ぶ際に大事なことはやりたい事と出来る事の両方ですが、ある意味、やりたい事というのは経験が少ない中では捏造されたものとも言えますね。

合格可能性を上げる企業選びのポイントとは/新卒就活における「やりたいこと」の曖昧さ

曽和)やりたい事自体がまだ薄いのに、やりたい事で選んだ企業は受かるかどうかわからない。なぜなら、企業はやりたい人を採用するのではなく、出来そうな人を採用するからです。要は、自社にパーソナリティ、性格能力が合っている人を選ぶという事。企業は本当はその軸で合格者を決めるのです。

これはとてもねじれていますよね。実際に企業分析をして、企業を選び、面接でいかに自分のやりたい事を訴えて、受かる受からないと言える学生は本当に稀で、1割程度だと思います。ほとんどの学生はあまりやりたい事がわかっていない。

しかし、自分の中で確固たるものは、パーソナリティ、アビリティや性格能力であり、そこに合う企業を探す方が、本来面接にも受かりやすく、満足度ややりがいも上がるのです。さらに実際に入社後に成果も出るし、良いことだらけなのに、現状の世の中はそうはなっていない。これが大きな問題です。

飯田)できる事が、パーソナリティ、アビリティ、スキルに分かれると考えた時、学生だと過去の就労経験がないのでアビリティ、スキルは曖昧ですが、パーソナリティは確固たるものがあります。パーソナリティを測定するキャリアベースは、キャリア選択、裏返せば、企業側の採用でいうと、一番明確な基準、軸として使える部分と思います。

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