近年、多くの企業で「管理職になりたくない」と考える若手・中堅社員が急増しています。
プレイングマネージャーとして自身の業務と部下の育成に忙殺される上司の姿や、報酬が責任や労働量に見合わない「名ばかり管理職」の実態などが、他の社員に「出世=罰ゲーム」という認識を植え付けているためです。
本記事では、社員が管理職になりたくないと考える理由と、その根本原因を徹底解説。
管理職への昇進に対する心理的ハードルを下げ、誰もが挑戦できる仕組みづくりについてもご紹介します。
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管理職になりたくない人の割合は7〜8割にのぼる
管理職になりたくない人の割合は、各種調査において約70〜80%という極めて高い水準にのぼります。
この数字は一部の社員の意欲低下ではなく、労働環境の過酷さや価値観の多様化が引き起こした「社会構造的な課題」です。
具体的なデータとして、パーソル総合研究所の調査(2025年)では「現在の会社で管理職になりたい」と回答した人はわずか16.7%にとどまっています(※1)。
また、日本能率協会マネジメントセンターの調査(2023年)でも、管理職を希望する人は全体の23.4%に過ぎません(※2)。
過去の調査結果と比較してもこの割合はほぼ横ばいであり、社員間で「管理職になりたくない」という意識が蔓延していることは明白です。
人事担当者は、この常態化した管理職離れを個人の資質として片付けるべきではありません。
次世代リーダー候補が枯渇する重大な組織的危機と捉え、自社のマネジメント体制や評価制度の抜本的な見直しに直ちに着手する必要があります。
(※1)出典:パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」(2025年)
(※2)出典:日本能率協会マネジメントセンター「77%が『管理職になりたくない』【調査レポート】ポジティブな管理職を育てるために人事が押さえたいポイントとは?(2023年)
管理職になりたくない若者・部下が増加している背景
管理職になりたくない若者や部下が増加している背景には、プレイングマネージャー化による現場の過酷な労働環境があります。
労働力不足により若手への早期抜擢が進む一方で、管理職自身の業務量が限界を超えており、目指すべき魅力的なロールモデルが存在しないためです。
実際に、残業続きで疲弊する上司の姿を間近で見ている20〜30代の若手社員は、「あのように身を削ってまで出世したくない」「割に合わない」と強く感じています。
さらに、マネジメント業務よりも現場の最前線で専門スキルを磨き続けたいと考えるスペシャリスト志向の若者も増加傾向にあります。
若年層や優秀な部下の出世意欲を喚起するには、「気合」や「精神論」で昇進を促す従来の手法はもはや通用しないということを肝に銘じましょう。
管理職になりたくないことで退職・転職する人もいる
企業からの昇進打診をきっかけに、管理職になりたくないと感じて退職や転職を選択する人は少なくありません。
たとえば専門性を極めたい社員や、育児・介護との両立を図る社員に対し、無理に管理職への登用を強行すると、会社へのエンゲージメントは急激に低下します。
結果として「適性に合わないマネジメントを強制されるくらいなら、プレイヤーとして正当に評価してくれる他社へ移る」という最悪の事態に発展する場合があるのです。
昇進辞令を優秀な人材の退職トリガーにしてはなりません。人事担当者は「出世=誰もが喜ぶもの」という過去の常識を捨て、このすれ違いが引き起こす連鎖退職のリスクを重く受け止める必要があります。
管理職になりたくない理由5つ【なぜ?】
部下が管理職になりたくないと考える主な理由は次の5つです。
- プレッシャーや心理的重圧・ストレスが大きい
- 業務過多でワークライフバランスが崩れる(女性の育児懸念など)
- 適性や能力に自信がない(管理職の器じゃないと感じる)
- 割に合わない(残業代が出ず給料が下がる)
- 専門性を極めたいなどキャリア観が多様化している
それぞれ解説します。
プレッシャーや心理的重圧・ストレスが大きい
社員が管理職を避ける理由としてまず挙がるのが、マネジメント業務に伴うプレッシャーや心理的重圧、ストレスが大きいことです。
部門の業績達成という重い責任を背負いながら、上層部からの要求と現場(部下)からの不満の「板挟み」になる構造では管理職に負担が集中します。
実際に目標未達の責任を一人で追及されたり、部下のメンタルヘルス不調のケアに奔走したりと、逃げ場のない過酷な状況に追い込まれるケースもあり、「自分には務まらない」「やりたくない」と感じる人は少なくありません。
人事部門は、管理職一人にすべての責任を押し付ける属人的な体制を改め、組織全体でマネジメントを支援する仕組みを構築する必要があります。
業務過多でワークライフバランスが崩れる(女性の育児懸念など)
管理職になると業務過多に陥り、ワークライフバランスが崩れることも、昇進を拒む大きな理由です。
プレイングマネージャーとして自分自身の実務とマネジメントを兼務するため、長時間労働が常態化するからです。
特に女性社員の場合、育児や介護と仕事の両立への懸念から、予測不能な残業や休日対応が発生する管理職への昇進を避ける傾向が顕著に表れます。
時短勤務のまま管理職に就ける制度の導入や、業務量の適正化を図り、誰もが私生活と両立できる環境を整備することが重要です。
適性や能力に自信がない(管理職の器じゃないと感じる)
自身の適性やマネジメント能力に自信がないことも、部下が管理職になりたくないと感じる要因です。
企業側が管理職に対して先頭に立って組織を引っ張る強いリーダーシップやカリスマ性を期待していると、それに当てはまらない人材は「自分は管理職の器じゃない」と感じます。
実際に、人をぐいぐい引っ張ることや他者を厳しく指導することに向かないと感じている中堅社員や40代のベテラン層が、昇進を固辞するケースは少なくありません。
管理職不足を解消するためには、こうした従来のリーダー像やマネジメントの手法から脱却する必要があります。
割に合わない(残業代が出ず給料が下がる)
責任や労働量に対して待遇が「割に合わない」と感じることも、社員が管理職への昇進を避ける決定的な理由です。
管理職になれば役職手当が支給される一方で残業代の支給対象外となり、一般社員時代よりも手取りの給料が下がるケースがあるため、この実態を指して「名ばかり管理職」と揶揄されることもあります。
長時間働かされているにもかかわらず、残業をしている部下よりも給与が低いという逆転現象が起きている職場では、誰も出世を目指しません。
人事担当者は現在の報酬・評価制度を抜本的に見直し、管理職が正当な対価とメリットを得られる給与体系を再設計してください。
専門性を極めたいなどキャリア観が多様化している
専門性を極めたいといった、キャリア観が多様化していることも管理職になりたくない理由のひとつです。
現在では終身雇用や年功序列が崩壊し、画一的な「出世=管理職」というキャリアパスが現代のビジネスパーソンにとって魅力的ではなくなりつつあります。
実際に、現場の最前線でプレイヤーとして高度な技術や専門スキルを磨き続けたいと考える若者や中堅社員が増加しており、マネジメント業務を「キャリアの停滞」と捉える層も少なくありません。
不向きな人材を無理に管理職へ登用するリスクを回避するためには、部下を持たずに評価される「専門職(スペシャリスト)コース」などの多様なキャリアパスを設計しましょう。
マネジメントへの適性がない人材に無理を強いる制度を廃止し、各自が強みを最大限に発揮できる選択肢を用意することは、組織全体のマネジメント品質の維持につながります。
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社員が管理者になりたくないと考える根本原因は属人的なマネジメントにある
社員が管理職を避ける真の要因は、個人の意欲不足やスキル不足ではありません。
組織内に標準化された「マネジメントの型」が存在せず、上司のスキルや経験に依存する属人的なマネジメントが蔓延していることが根本原因です。
こうした環境下では新しく管理職に就く者に対して体系的な教育や支援がおこなわれず、新任管理職は正解がわからないまま手探りで組織を牽引せざるを得なくなり、過剰な負担を背負います。
周囲の若手や部下はその苦労を目の当たりにするため、結果として「管理職にはなりたくない」という忌避感を抱きます。
管理職不足を解消するには、属人性を排除しマネジメントを仕組み化することが重要です。
そのための具体的な一歩として、テクノロジーの活用がおすすめです。
たとえば、1on1支援ツール「ミキワメAI マネジメント」では、社員一人ひとりの性格適性データをもとに、AIが上司に対して最適なアジェンダや指導のアドバイスを自動で提示します。
これにより、経験の浅い新任管理職でも「何をどう話せばいいか」に迷うことなく、質の高いマネジメントを再現できます。
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管理職不足・昇進拒否が企業に与える深刻な影響・リスク
管理職不足や昇進拒否を放置することは、企業運営に致命的な影響とリスクを与えます。組織の結節点であるミドルマネジメント層が空洞化し、業務の遂行能力と人材育成の機能が根底から崩壊するからです。
具体的には次のような影響・リスクがあります。
それぞれ解説します。
既存の管理職への負担が集中し連鎖退職につながる
管理職不足は、既存の管理職への過度な負担集中を招き、最悪の場合は連鎖退職につながる深刻なリスクを孕んでいます。
管理職のなり手がいない場合、空いたポストの業務やマネジメント領域を少数の既存管理職でカバーせざるを得なくなるからです。
一人のマネージャーが数十人の部下を抱え、自身の目標達成と育成のプレッシャーに押し潰されて休職や退職を選択するケースもあります。
企業は特定の社員に依存する属人的な体制を早急に解消し、マネジメントの負荷を組織全体で分散させる仕組みを構築しなければなりません。
経営層の意図が現場に届かない
社員の昇進拒否によってミドルマネジメント層が不足すると、経営層の意図が現場に届かないというリスクが発生します。
管理職は、経営陣が描く抽象的なビジョンや戦略を、現場の具体的な行動目標へと翻訳する重要な役割を担っているからです。
部門長や課長が不在の組織では、全社方針が末端の社員まで浸透せず、各現場がバラバラの方向へ進んでしまい生産性が著しく低下します。
経営戦略を確実に実行し業績を向上させるために、現場と経営を繋ぐ管理職の育成と定着を経営課題の最優先事項として位置づけてください。
次世代リーダーの育成・定着が進まない
管理職の不足は、次世代リーダーの育成や定着が進まないという長期的なマイナス影響を企業に与えます。
適切なフィードバックや1on1を実施できる上司が不在となり、若手社員の成長サイクルが完全に停滞するからです。
指導を受けられず成長実感を得られない優秀な若手社員は、キャリアへの不安から早期に退職し、結果として未来の管理職候補がさらに枯渇する悪循環に陥ります。
この育成と定着の負のスパイラルを断ち切るために、誰もが質の高いマネジメントを実践できる支援ツールの導入や教育体制の整備を急務として実行してください。
「管理職になりたい」と思える組織へ!人事が取るべき対策3選
誰もが「管理職になりたい」と思える職場にするためには、管理職の負担を軽減し、働きやすい環境を整えることが重要です。
具体的な施策としては、以下の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
評価・報酬制度を抜本的に見直す
社員の「管理職にはなりたくない」という忌避感を払拭するための第一歩は、評価・報酬制度を抜本的に見直すことです。
責任と労働量に見合った正当な対価が得られなければ、誰もモチベーションを維持して昇進を目指そうとはしません。
具体的には、役職手当の大幅な増額や、残業代の有無によって一般社員と給与の逆転現象が起こらないような給与テーブルの再設計が挙げられます。
人事部門は現在の報酬体系を早急に点検し、管理職になることが経済的にも明確なメリットとなる制度を確立してください。
チームで支える体制を構築し、個人の責任を分散させる
管理職になりたいと思う社員を増やすためには、特定の一人に過度な負担が集中しないよう「チームで支える」体制を構築し、個人の責任を分散させることも重要です。
「トラブルが起こったらすべて自分の責任になる」「自分がいなければ現場が回らない」といった孤独なプレッシャーが、管理職というポジションを過剰に重いものに感じさせているからです。
たとえば、意思決定の権限を一部メンバーに委譲したり、複数のリーダーでマネジメント業務を分担する「シェアード・リーダーシップ」の考え方を取り入れたりすれば、心理的な負担が劇的に軽減されます。
「一人で抱え込まなくていい」という安心感は、プレッシャーを感じやすい若手や中堅社員が、管理職への挑戦を一歩踏み出す大きな動機付けとなります。
人事は「優秀な個人」に依存する旧来のマネジメント像を捨て、組織全体でマネジメント機能を補完し合う「持続可能なチーム運営」の形を提示してください。
マネジメント教育・プレ管理職研修を早期実施する
管理職になりたいと思う社員を増やすためには、マネジメント教育やプレ管理職研修を早期に実施することも重要です。
リーダー抜擢後に突然マネジメントを任される環境では、役割の変化に戸惑うばかりで、「自分には無理だ」という苦手意識が先行してしまいます。
たとえば、昇進の半年〜1年前から「プレ管理職」として、傾聴スキルやフィードバック手法を段階的に習得させる研修を実施すれば、マネジメントの具体的なイメージが掴めるようになります。
早い段階で「これなら自分にもできる」という成功体験を積ませることで、役割移行への心理的ハードルが下がり、昇進に対する前向きな意欲を引き出す効果が期待できます。
人事は「選んでから育てる」のではなく、候補者が自信を持って自ら挑戦したくなる状態を事前に作る「助走期間」としての教育体制を構築してください。
管理職になりたくない人に関するよくある質問
管理職になりたくない人に関するよくある質問に答えます。
似たような疑問をお持ちの方は参考にしてください。
管理職に向かない人の特徴は?
プレイヤー志向が極めて強く、自分の成果にのみ執着する人や、他者への興味・関心が薄く、対人ストレスを強く感じやすい人はマネジメントに不向きな傾向があります。
ただし、これらは適切なトレーニングで克服できるケースも少なくありません。
管理職になりたくないという部下が生まれる理由は?
主な理由は責任の重さと報酬が不釣り合いであることと、業務過多による長時間労働への懸念があることです。
企業側が旧来の「強いリーダー像」を押し付け、孤独なプレッシャーを与えていることも、忌避感を生む大きな要因となっています。
40代が管理職になりたくないのはなぜ?
40代は現場の第一線で実務の要として活躍しており、マネジメントに回ることで自身の専門性が失われることを恐れる傾向があります。
また、介護や育児などの家庭環境の変化により、責任の増大や長時間労働をこれ以上受け入れられないという切実な事情も背景にあります。
女性が管理職になりたくないのはなぜ?
ライフイベント(出産・育児)と重なる時期に、長時間労働を前提とした働き方や、ロールモデルの不在による「自分には無理だ」という心理的ハードルが大きな障壁となっています。
組織側が柔軟な働き方や、チームで支え合うマネジメント体制を提示できていないことが根本的な課題です。
管理職にならないキャリアの例は?
特定の領域で誰も代替できない高度な技術を発揮し続けるスペシャリスト(専門職)や、プロジェクト単位で専門知見を注入するエグゼクティブ・アドバイザーなどが挙げられます。
部下を持たずとも、その専門性によって管理職と同等、あるいはそれ以上の報酬や評価を得ながら、現場の最前線で事業に貢献し続けるキャリアパスです。
管理職不足を解消するには誰もがマネジメントできる仕組みづくりが不可欠
「管理職になりたくない」という社員の本音は、現在の管理職が背負わされている過度な責任や負担に対する、生存本能に近い拒絶反応です。
この心理的な壁を壊すには、個人の志向を変えようとするのではなく、誰もが迷わず、かつ楽にマネジメントを遂行できる仕組みへ整えることが唯一の解決策となります。
給与や評価制度、プレ研修の実施といったハード面を整備すると同時に、管理職をチームとツールで支える実務的な安心感を提供しましょう。
その強力なパートナーが「ミキワメAI マネジメント」です。
性格適性データに基づき、AIが部下への「具体的な関わり方」や「1on1のアジェンダ」を自動で提示。
これまで個人の能力やセンスに頼り切っていたマネジメントを自動化し、誰もが成果を出せる仕組みへと変えることで「自分には無理だ」という諦めを「これならできる」という確信へと塗り替えます。
管理職のなり手が不足する今、こうしたツールを活用して優秀なマネージャーを輩出していくことは、持続可能な組織をつくるための重要なカギです。
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