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人材開発とは?組織全体の成長を目指す具体的な実践方法について解説

人材開発とは、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大化するための取り組みです。変化の激しいビジネス環境において、人材開発は企業の持続的成長や競争力強化のために急務となっています。

本記事では、人材開発の定義や役割、実践方法、具体的な事例について解説します。

人材開発とは

人材開発とは「教育や訓練を通じて従業員の知識やスキルを高め、パフォーマンスを最大化させる取り組み」です。

近年、人材開発は以下の3つの理由から必要性が高まっています。

  • キャリアへの価値観の変化により従来の終身雇用の前提が崩れたため、人材を短期間で効率的に戦力化したい
  • DXをはじめとした、変化するビジネス環境に適応できる人材を育てたい
  • 個々の従業員の能力向上を組織全体の成長促進につなげ、企業の長期的な目標やビジョンを達成したい

人材開発と人材育成の違い

人材開発と混同しやすい言葉に「人材育成」があります。明確な線引きはないものの、人材開発と人材育成は以下のように異なる意味合いで用いられます。

用語人材開発人材育成
目的個人の能力向上による
組織全体の成長
業務に必要なスキルと知識の習得による従業員の業務遂行能力の向上
対象全従業員特定の階層や役職、職種の従業員
期間短期中心長期的
アプローチ個別化されたアプローチ標準化されたプログラムが多い

人材開発、人材育成のいずれも、組織全体における人的資源の最適化を目指す取り組みであり、組織の競争力向上に欠かせません。

人材開発の目的と期待される効果

前述のように、人材育成が「特定の階層や役職を対象とした業務遂行に必要なスキル習得」を目的とするのに対し、人材開発は「個々の従業員のスキルアップを通じた組織全体の成長促進」を目的とします。

人材開発によって期待される主な効果は以下の3つです。

  • 従業員のスキル向上によりパフォーマンスが上がり、組織全体の生産性向上、ひいては競争力強化につながる
  • 成長機会の提供により従業員のモチベーションがアップし、エンゲージメント(企業への貢献心・愛着心)が向上する
  • 成長の実感と会社に対するエンゲージメントを得られることにより従業員の離職を防ぐ

人材開発を通じて一つの効果が出ると、ほかの効果にも波及していくという好循環を生み出します。戦略的な人材開発は、個人と組織の両方にとって大きな価値をもたらし、経営戦略の実現や企業の競争力強化につながる重要な取り組みです。

人材開発の基盤となる5つのアプローチ

人材開発の基本的な手法は以下の5つです。

OJT(On the Job Training)・実際の業務を通じて行う教育訓練
・上司や先輩社員が指導役となり、日常業務のなかで必要なスキルや知識を習得させる
Off-JT(Off the Job Training)・通常の業務から離れて行う研修や教育プログラム
・社内外の研修、セミナー、ワークショップなどが含まれる
自己啓発 (SD:Self Developmen)・従業員が自主的に行う能力開発活動
・資格取得、外部セミナーの受講、業務関連書籍の購読などが含まれる
コーチング・個人やチームの潜在能力を引き出し、目標達成を支援する対話型の手法
・上司やコーチによる質問を通じて自発的な気づきと行動を促し、パフォーマンス向上を図る
タフアサインメント・従業員に通常より難しい課題や役割を与え、成長を促す手法
・プロジェクトリーダーへの抜擢などが例として挙げられる

これらの基本的な手法に加え、実際の業務上の課題を題材に、グループで解決策を考え実践する「アクションラーニング」や、ゲームの要素や考え方を研修に取り入れた「ゲーミフィケーション」なども広がっています。

企業における具体的な人材開発の事例5社

実際に企業で行われている人材開発施策について見ていきましょう。

トヨタ自動車・自身の役割や伸ばしたい専門性、学びたい意欲に応じて選べる「自立選択型の研修制度」を導入
・グローバルに活躍できる素養や不慣れな環境への適応力獲得を目的として、海外事業体や国内関係先など職場外へ派遣する「修業派遣制度」
パナソニック・人材開発・研修を専門的に行う「人材開発カンパニー」の設置
・社内Webサイトでビジネススキルなどに関する研修コンテンツを無償で提供
・全社員対象にキャリアビジョンの行動促進を図る「キャリア&ライフデザインセミナー」の実施
日本IBM・社員ごとに興味がある分野をAIが学習し、現在のスキルや履歴に基づいたプログラムを推奨する社内学習プラットフォーム「Your Learning」の提供
・キャリア形成や自己成長のためのメンターを、世界中のIBM社員から検索して相談できる「Your Guides at IBM」
リクルート・一人ひとりの実現したいこと(Will)、活かしたい強みや克服したい課題(Can)、ミッション(Must)からなる目標管理シート「Will-Can-Mustシート」の運用
・組織をあげて従業員一人ひとりの育成方針を検討する「人材開発委員会」の設置
・コーチング技術やリクルート独自の技術を習得した「Co-AL(コアル) Partner」によるキャリア支援
ニトリ・数年間海外に赴任する「グローバルトレーニー制度」
・既成概念にとらわれない発想で新たな事業を経営陣に発表する「未来会議」
・e-ラーニング
・インテリア関連の知識を実践演習を通じて学べる基礎通信講座「NCCS」
・自己育成を行い、結果を残した人が追加投資を受けられる「教育マイレージ制度」

ここで紹介した施策のなかには、専門機関の設置など、大企業でなければ難しい施策もあります。厚生労働省も以下のような人材開発支援策を提供・推進しているため、中小〜中堅企業は積極的に活用するとよいでしょう。

  • 人材開発支援助成金:従業員の職業能力向上のための訓練費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する
  • セルフ・キャリアドック導入支援:企業内でのキャリアコンサルティング面談やキャリア研修などを組み合わせた実施で、従業員の主体的なキャリア形成を支援する
  • 教育訓練プログラム:ITを中心とした教育訓練プログラムなどを無償で提供する

人材開発を効果的に行うための4つのポイント

従業員と企業の成長につながる効果的な人材開発を実現するためには、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

1.  企業目標と経営課題に合わせて計画する

人材開発プログラムは、企業の目標達成や課題解決に直結するものでなければなりません。たとえば、グローバル展開を目指している企業であれば、海外派遣や異文化研修などが考えられるでしょう。同時に、従業員本人と1on1などで目標を共有すると、個人の目標と企業の目標の整合性を確保できます。

2. 従業員の主体性を尊重する

従業員の能力向上には、本人のモチベーションが欠かせません。本人の主体性を尊重するとともに、キャリアに対するヒアリングや成果に対するフィードバックを行い、モチベーションの維持を図る必要があります。

3. 従業員のスキルや特性を把握し、適切なプログラムを用意する

画一的ではなく、個々の従業員の特性や課題に合わせたプログラムの提供は、従業員の学習効率を高めます。たとえば、リーダーシップスキルの向上が必要な従業員にゲームや演習を通した「協働的リーダーシップ」プログラムを提供する施策などが考えられるでしょう。

4. 人材データを適切に管理する

効果的な人材開発を実施するには、従業員のスキルや経験、特性のデータ化による管理・活用が有効です。人材管理システムの導入により、従業員のスキルデータの定期的な更新・把握が可能となれば、最適な人員配置や個々の従業員に適したキャリア開発プランの提案に役立てられます。

上記4つのポイントのうち、人材開発においてとくに重要なのが「企業目標と経営課題にリンクする課題や目標の設定」と「従業員のスキルや特性の把握」です。

企業にとって人材開発で必要な成果を出すためには、経営課題に沿った明確な目標設定が欠かせません。そのうえで、従業員個人の現状と目標とのギャップを可視化し、提供する施策を定める必要があります。

人材開発を成功させるにはツールの導入が有効

個々の社員の意向と企業が求める人材を正確に把握し、両者を適切に照らし合わせる必要がある人材開発において、大きな役割を果たすのが「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」です。

ミキワメウェルビーイングサーベイでできること概要
社員の心理状態と性格の
可視化
社員の特性の分析・把握により、効果的なモチベーション向上へのアプローチや、もっとも力を発揮できる適材適所の配置を可能とする
チームのエンゲージメント
分析
現在の部署の状況と理想の状態を比較することで、各部署に不足している特定の性格特性やスキルを特定し、具体的な人材開発目標として設定できる
従業員のセルフマネジメントスキルの獲得従業員自身が自己の強みや改善点を理解し、主体的にキャリア開発に取り組むことを支援する
組織ニーズの把握活躍する社員の分析により、チームに必要なスキルや能力が明確となり、的確な人材開発プログラムを設計できる
効果測定と改善部署の状況を定期的に確認することで、人材開発の効果を測定し、プログラムの継続的な改善につなげられる

ミキワメウェルビーイングサーベイは、人材開発において「現状把握」「目標設定」「適材適所の実現」という一連のプロセスを効果的にサポートします。

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