新卒採用を行う中で、採用ターゲットのパイを広げたり、将来の幹部候補生として、東大生にもプロモーションを行おうとされる企業人事の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
多くの一流企業が採用ターゲットとしてプロモーションを行う結果、採用は簡単ではないとお感じの人事の方も多いかと思います。
東大生に正しく採用ブランディングを行っていく上で、志向性や企業選択の軸などについて他大生と比較した東大生の傾向・特徴を理解することが有益です。
本稿では、当社が実施した「2024年卒 最上位校就職人気企業ランキング」調査から得られたデータを基に、東大生の傾向分析結果をご紹介します。
1.調査サマリー
24卒東大生と旧帝大早慶層学生を対象にした就活実態調査を行った結果、以下のようなことが実態がわかりました。
※以下、いずれも旧帝大早慶層を対象としたデータとの比較しての傾向
・東大生は文系理系ともに”奉仕・社会貢献”を重視する学生が多い
・東大生は業務の”チャレンジ性・責任感・創造性”を重視する傾向がある
・東大生は”ワークライフバランス”を重視する学生が他大生よりも少ない
・東大生は”身体的な快適さ”を重視する学生が少ない
・東大生は仕事や将来の”安定性”を重視する学生が少ない
調査結果から見えた、東大生採用戦略を考える人事担当者が意識するべきポイントは「5.東大生向けの採用ブランディングのポイント」をご参照ください。
※本調査についての詳細は、以下よりお問合せ下さい。
https://www.recme.jp/for-company/
2.東大生がキャリアで目指すものについて
この章では、東大生がキャリアで目指すものについての調査結果をランキング形式で報告します。さらに、調査から考察できる東大生の傾向も解説していきます。
調査結果
Q:以下の九つのキャリアゴールの中から最も重要だと感じるものはどれですか?該当するものを三つ選択して下さい。
東大生特有の傾向
以上の結果から、東大生特有の傾向として以下の2点が見えてきました。
①東大生は文系理系ともに”奉仕・社会貢献”を重視する学生が多い
東大生のキャリアで目指すものを旧帝大早慶層学生と比較すると、「奉仕・社会貢献」を選択する学生が多いことがわかりました。
理系東大生は理系旧帝大早慶層より5.3ポイント「奉仕・社会貢献」を選ぶ人が多く、旧帝大早慶層の6位に対して東大生では4位でした。文系東大生は、文系旧帝大早慶層と比較して6.3ポイント「奉仕・社会貢献」を選択する人が多い結果となりました。
②東大生は”ワークライフバランス”を重視する学生が他大生よりも少ない
東大生は旧帝大早慶より「ワークライフバランス」を選択する学生が少ないことがわかりました。
理系東大生は理系旧帝大早慶層学生より「ワークライフバランス」を選択する人が3.92ポイント少なく、文系東大生は文系旧帝大早慶層学生より「ワークライフバランス」を選択する人が10.19ポイント少ない結果となりました。
3.東大生が考える企業の魅力要因について
この章では、東大生が考える企業の魅力要因の調査結果をランキング形式で報告します。さらに、調査から見えてきた東大生の傾向とその対策についても解説していきます。
調査結果
Q:ご自身が企業を選ぶ際に重視する特徴は何ですか?該当するものをすべて選択してください。
東大生特有の傾向
調査結果から、東大生特有の傾向として以下の3点が見えてきました。
①東大生は業務の”チャレンジ性・社会的責任感・創造性”を重視する傾向がある
企業の魅力要因ランキングでは、東大生では「チャレンジ性のある仕事」「企業の強い社会的責任感」「多様な仕事内容」「創造性を発揮できる職場環境」を選択する学生が旧帝大早慶層より多い結果となりました。
理系学生を比較すると、「チャレンジ性のある仕事」を選択する人の割合が、東大生では旧帝大早慶層より2.97ポイント多く、旧帝大早慶層の2位に対し東大生では1位でした。
「企業の強い社会的責任感」を選択する割合は東大生では1.35ポイント多く、旧帝大早慶層4位に対し東大生3位でした。
「創造性を発揮できる職場環境」を選択する東大生は、旧帝大早慶層より2.29ポイント多く、旧帝大早慶層15位に対し東大生では10位でした。
文系学生を比較すると、「チャレンジ性のある仕事」を選択する人の割合が東大生では旧帝大早慶層より0.63%高く、「企業の強い社会的責任感」を選択する人の割合は0.95%高い結果となりました。
また「創造性を発揮できる職場環境」を選択する人の割合は東大生では旧帝大早慶層より2.35%多く、旧帝大早慶層14位に対し東大生では8位でした。
②東大生(特に文系)は”ワークライフバランス”や”身体的な快適さ”を重視する学生が少ない
企業の魅力要因ランキングでは、東大生は「仕事と生活の良いバランス」「身体的に快適な職場環境」を選択する学生が少ないことがわかりました。
理系学生を比較すると、「仕事と生活の良いバランス」を選択する人が東大生は旧帝大早慶層学生より0.84ポイント少ない結果となりました。
「身体的に快適な職場環境」を選択する人は1.56ポイント少なく、旧帝大早慶層の12位に対して東大生では14位でした。
文系学生を比較すると、「仕事と生活の良いバランス」を選択する人が東大生は旧帝大早慶層学生より2.95ポイント少なく、旧帝大早慶層9位に対して18位でした。
「身体的に快適な職場環境」を選択する東大生は旧帝大早慶学生より3.81ポイント少なく、東大生のTOP20選外となりました。
③東大生は仕事、将来の”安定性”を重視する学生が少ない
企業の魅力要因ランキングでは、東大生は「安定した雇用」「市場での成功」「競争力のある福利厚生」を選択する学生が少ないことがわかりました。
理系学生を比較すると、東大生は旧帝大早慶層より「安定した雇用」を選択する人の割合が2.12ポイント少なく、旧帝大早慶層の13位に対して東大生では16位でした。
企業の安定性を示す「市場での成功」という魅力要因を選択する東大生の割合は、旧帝大早慶層と比較して1.17ポイント少ない結果となりました。
さらに、経済上、健康上の安定を図る福利厚生の充実(「競争力のある福利厚生」)を選択する東大生の割合は、旧帝大早慶層と比較して2.76ポイント少なく、旧帝大早慶層8位に対して東大生では13位でした。
文系東大生を比較すると、「安定した雇用」を選択する人の割合が東大生は旧帝大早慶層より1.35ポイント少なく、旧帝大早慶層の14位に対して東大生では17位でした。
「市場での成功」を選択する東大生の割合は、旧帝大早慶層より2.69ポイント少なく、旧帝大早慶層の10位に対して東大生では14位でした。
「競争力のある福利厚生」を選択する東大生の割合は、旧帝大早慶層と比較して2.96ポイント少なく、旧帝大早慶層の8位に対して東大生では16位でした。
4.東大生向けの採用ブランディングのポイント
続いて、東大生に対する採用ブランディングのポイントを解説します。
上記の調査結果、および本稿執筆者が普段東大生に対しヒアリングしている中での東大生特有の傾向を踏まえ記載します。「自社の母集団になるべく多くの東大生を集める」ことを目的とする際に、有効な訴求内容について、解説します。
自社の魅力の中で以下の内容に当てはまるもの、もしくは以下の内容に近似しているものがあれば、訴求することが望ましいでしょう。
※なお、東大生の中にも一人一人の学生には個性があり、異なる志向性を有するため、特に採用数が少ない場合は旧帝大早慶層の傾向に影響されすぎず、自社の魅力が最も刺さるペルソナを定義することも重要です。本稿で紹介する観点は、あくまで「東大生の母集団シェアを最大化すること」を目的に、参照いただければと思います。
①業務の社会貢献度を訴求する:
「奉仕・社会貢献度」の高い仕事とは、言い換えると「公益性」の高い仕事、つまり個人的ではなく社会的な価値や利益を提供するという意味であることが多いです。
自社が社会に対し、どの程度どのようにポジティブな影響を与えているのかを説明することは、東大生採用施策として有効でしょう。
②業務のチャレンジ性を訴求する:
東大生にとって「業務のチャレンジ性」とは、言い換えると業務上の「課題の難易度の高さ」や「新しい課題への挑戦」などを指していることが多いです。
自社の業務上の「難易度」と「新規性」を整理し、それらがどのように社員の成長に繋がっているのかを伝えられると、東大生にとっては魅力的に映るでしょう。
③仕事に伴う責任感を訴求する:
東大生にとって「仕事に伴う責任感」とは、「社会への影響力の強さ」や「必要性の高さ」、「社会課題の解決にいかにつながるか」などを指すことが多いです。
自社の製品サービスが、どのような社会課題解決につながっているか、いかに多くの人々に影響を与えるものか、いかに必要とされているものか、などの視点で訴求できるとよいでしょう、
④創造性の発揮できる職場であることを訴求する:
東大生が「創造性を発揮できる職場」を好む背景には、定型化された作業をただ回すだけではなく、新しい製品の開発や施策の考案など柔軟な思考・発想が伴う仕事に就きたいという希望がある場合が多いと考えられます。
自社での業務が「柔軟な/高い思考力・発想力を必要とする」、「未だ解決できていない難題に取り組む必要がある」、さらに「創造性を支える社風や先輩社員の存在、自社の技術基盤が存在する」という点を訴求することは有効であると考えられます。
Appendix
appendix① 志望企業ランキング
Q:下記の企業リストの中で、どの企業を就職先として検討しますか。該当するものを5社までチェックしてください。
※企業リストは弊社にてリストアップした約400社
東大生の傾向
・東大生のランキングでは文理ともに、コンサルティングファームが多数ランクイン
・旧帝大早慶層と同様に、総合商社が多数ランクイン
・理系東大生ではメーカーの順位が旧帝大早慶層より低い
・文系東大生では損保や信託の順位が旧帝大早慶層より低い
appendix② 期待年収
Q:あなたが就職後、30歳のときに期待する年収を教えて下さい。
※選択肢式
東大生の傾向
・旧帝大早慶生と全体的なトレンドは同じで、1000万円をピークに左に歪む分布
・文系理系とも、東大生は旧帝大早慶層より高所得を期待する傾向がある。
・中でも文系東大生は、1000万円以上の年収を期待する層が多い
Appendix③ 調査概要
本調査の概要は以下の通りです。
※本調査についての詳細は、以下よりお問合せ下さい。
https://www.recme.jp/for-company/
調査方法:
弊社主催の合同説明会の参加者、または弊社会員へのWEBアンケート
調査期間:
2023年2月20日~2023年3月15日
調査対象:
2024年卒予定の東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東京工業大学、一橋大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、九州大学の計12大学の大学生もしくは大学院生
※有効回答数は、全体2092名(理系953名、文系1139名)、東大生213名(理系117名、文系96名)。
調査内容:
・東大生がキャリアで目指すもの(キャリアゴール)について、学生は9つのキャリアゴールの中から最も重要だと思うものを最大で3つ選択。各選択肢の得票率をランキング化。
・魅力要因は、企業の魅力要因40個の中から重要視している特徴を学生が複数選択。各選択肢の得票率をランキング化。
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