シエスタとは、昼休憩を意味することばです。日の出から日の入りまでの時間が長いスペインの習慣から生まれました。最近は、多くの企業でシエスタをもとに作られた「シエスタ制度」の導入が進んでいます。
今回は、シエスタの意味や、シエスタ制度の効果、メリット・デメリットについて解説していきます。
シエスタとは
本来は、日の出から日の入りまでの日照時間が長いスペインのお昼休憩のことを言います。スペインでは、「Siesta (シエスタ)」を14時から17時までと長い時間取ることが有名で、別名「お昼寝大国」とも呼ばれています。
そして最近では、日本企業の昼休憩にシエスタ制度が導入されはじめ、注目を集めています。
シエスタ制度とは
シエスタ制度とは、企業などの昼休憩で、ランチタイムとは別に長い休憩やお昼寝をとる制度です。近年日本でも導入する企業が増えており、昼休憩後の仕事の効率化や従業員の満足度向上などさまざまな面で良い影響があるとされています。
目的
生産性や従業員の満足度が向上し、社内にさまざまなメリットがもたらされます。結果的に業務全体の効率化が期待できることから、、導入する企業が増えています。
効果
多くの従業員が昼寝を取ると、ストレス解消や体力回復の効果があることが、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」にて証明されています。従業員の健康面のサポートにもつながり、気持ちよく働いてもらえるようになるでしょう。
また、同時に企業のイメージアップにもつながる可能性が高いです。クライアントにも良い印象を持ってもらいやすくなることから、経営面でも大きなメリットが得られるでしょう。
参考:
厚生労働省 睡眠対策
導入方法
従来の昼休憩の時間を長く延ばして、退社時刻を遅くすることで導入できます。日本企業の多くは、1日8時間以上の労働時間を設けています。8時間以上の労働時間を設ける場合、法律で1時間以上の休憩を取ることが義務付けられています。しかし、1時間では体を休めきれず疲労が蓄積されたまま働いている方も多いです。
そこで、シエスタ制度を導入して休憩時間を3時間にし、従業員が十分に体を休められる時間を与えます。時間だけを見ると、従来は9:00〜18:00だった勤務時間が9:00〜20:00と長くなってしまいますが、従業員のストレス面や体力面で見ると良いことのほうが多いです。
昼寝の時間別効果
シエスタ制度で昼休憩が長くなることで、昼寝を取れるようになります。昼寝はストレス解消や体力回復の効果がある一方で、取る時間によっては悪い影響を与える場合もあるため、注意しなければいけません。ここでは、昼寝の時間別効果について解説します。
15分から20分
昼寝を15分から20分取ると、午後の業務の効率が上がります。これは睡眠のノンレム睡眠とレム睡眠の特性が関係しています。ノンレム睡眠は脳が休んでいる状態で、レム睡眠は脳が働いている状態です。午後の業務を効率化させるためには、ノンレム睡眠を効率よく取ることが重要になります。
15分から20分の昼寝では、眠ってから5分後くらいは、とても浅い眠りになっています。その後、5分を過ぎると眠りが深くなります。20分を過ぎるとより深く眠りについてしまい起きる際、すっきり起きれず倦怠感などが発生します。そのため、ノンレム睡眠を効率よく取るには、15分から20分の昼寝がベストと言えるでしょう。
30分
昼寝を30分取ると、午後の業務で眠気を感じることは少なくなりますが、起きる際にすっきり起きれずに倦怠感が残る場合があります。そのため、前述したとおり15分から20分の昼寝がおすすめですが、それでは足りないと感じる方もいるかもしれません。その場合は30分の昼寝がちょうどよいケースもあります。
30分以上
昼寝を30分以上取るのは逆効果です。ノンレム睡眠が深くなり、脳の休息効果が大きくなってしまいます。その結果、すっきりと目覚められず倦怠感が残り、逆に業務がはかどらなくなってしまうでしょう。また、夜になかなか眠ることができず、夜更かし・睡眠不足の原因にもなりかねません。昼寝は長くても30分にとどめてください。
シエスタ制度のメリット
シエスタ制度を導入することで得られるメリットについて、詳しく解説していきます。
生産性が上がる
企業の多くは、午後になると生産性が下がってしまっています。昼寝を15分から20分取ることで集中力が上がり、午後の業務の生産性が向上するでしょう。
実際には、休憩の時間がよい効果を与えることにまだ気付いていない企業が多いです。しかし、従業員の回復の時間を作ることは業務全体の効率化につながるため、企業にとって非常に重要です。
ストレス解消
昼寝を取ることで脳を一度休ませることができるため、ストレス解消につながります。作業にも余裕ができるでしょう。脳を休ませずに午後の業務に移ると、脳内で情報が処理しきれなくなり、ミスが増えてしまいます。
また、昼休憩が延びれば、自分の趣味などに時間を割くこともできます。これもストレス解消につながる理由です。
体力回復
現在、労働している多くの方が、昼休憩に睡眠を取れていないでしょう。睡眠を取らないと、午前中の業務の疲労を回復しきれません。シエスタ制度によって休憩時間が延び、昼寝が取れると、体力回復につながり午後の業務により集中できるようになります。
適切な時間の昼寝に、
疲労回復効果があることは、多くの論文で証明されています。このことからも、シエスタ制度の導入が多くの企業で必要とされている理由がわかります。
睡眠不足解消
日本は、先進国の中でも睡眠不足の方が多い国と言われています。しかし、多くの企業が従業員の睡眠不足について軽視しています。
睡眠不足によって疲労が蓄積されれば、免疫力が弱まり、病気にかかりやすくなります。また、うつ病などの精神疾患を引き起こす危険性もあります。
従業員の健康を守るためにも、企業は昼寝や休憩がどれほど重要なのかを理解し、いち早くシエスタ制度を導入するべきです。
労働時間のフレックス化が可能になる
従業員が自分の働きたい時間に働く新しい働き方の実現に繋がります。早く退社したい方は、シエスタ制度を利用せず1時間の休憩を取ることや、遅くまで業務をする方は、シエスタ制度を利用して3時間休憩を取るといった労働時間のフレックス化が可能です。
従業員の満足度が上がる
シエスタ制度では昼休憩が増えるため、従業員一人ひとりが休みたいときに休めます。そのため、従業員の業務に対するモチベーションや満足度が高くなり、今以上に働きやすい環境を提供できるようになります。
企業のイメージアップに繋がる
企業の充実した福利厚生をアピールできるため、イメージアップにつながります。イメージの良い企業には、多くの人材が集まります。現在日本に存在する多くの企業との差別化も図れるでしょう。
シエスタ制度のデメリット
さまざまなメリットがあるシエスタ制度ですが、以下のようなデメリットもあるため、導入する際は注意が必要です。
昼寝の取りすぎは逆効果
休憩時間が長くなることで、昼寝をする従業員が増えます。昼寝は、15分から20分、長くても30分までなら午後の業務に大きなメリットを与えます。
しかし、30分以上と長い時間取ると、すっきり起きられず倦怠感を感じてしまったり、夜眠ることができなくなったりします。また、昼寝の取りすぎは、認知症などさまざまな病気にもつながりやすくなります。
退社時刻が遅くなる
休憩時間が長くなれば、その分退社時刻が遅くなります。たとえば、休憩時間を従来の1時間から3時間に変えた場合、18時に退社できていた企業では20時になってしまいます。
休憩時間が長くなることに満足する従業員がいる一方で、退社時刻が遅くなることに不満を抱く従業員もあらわれるでしょう。そのため、休憩時間を選べるように業務をフレックス化するなど、それぞれの従業員のニーズに応える取り組みが必要となります。
まとめ
今回は、ビジネス用語の「シエスタ」について解説しました。シエスタとは、スペインの昼休憩の習慣が元になっています。シエスタ制度を企業に導入して休憩時間を増やし、昼寝を勧めることで、午後の業務の生産性が上がる・ストレス解消に繋がるなど、さまざまなメリットが得られます。
従業員が働きやすい環境を考えるため、一度「シエスタ」の導入について検討してみてください。
参考:
オフィスで昼寝もOK!? 生産性向上のための「シエスタ制度」とは
【シエスタ制度】オフィス昼寝で生産性向上!科学的にも証明されたメリットとは? | RE:WORKSTYLE(リワークスタイル)
シエスタとは?シエスタ制度の意味や効果、導入して成功した日本企業も! | HR大学
睡眠対策 |厚生労働省
昼寝の時間はどれくらいが最適?仮眠の効果と注意事項|Good Sleep Labo – ぐっすりラボ|ショップジャパン
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