こんにちは。リーディングマーク代表の飯田です。
最近はすごく事業も組織も状態が良いのですが、つい最近までは、事業・組織ともに状態は最悪でした。
どれくらい状態が悪かったかと言うと、社員のおよそ半分が退職したがっており、会社で前向きに頑張り続けようと考える社員は数えるほどしかいませんでした。実際、離職率は3割以上、6割以上の社員が2年間で会社を去っていきました。
毎日のように社員が辞めるので、いつも退職する社員の仕事の引き継ぎを耳にしていました。
社員から「相談がある」と言われると動悸がしました。かなりの確率で退職を告げられるか、私の経営方針を非難されることがわかっていたからです。
しまいには、毎朝会社に行きたくなくなっていました(毎日我慢して出社しましたが!)。
最近は、組織の調子もすっかり良くなったのですが、その秘訣はたくさんの打ち手を打ったことではなく、いくつかの単純な打ち手をやり切れたことだと思っています。その秘訣を、皆さんとシェアしたいと思って、この記事を書いています。
私の知り合いの皆さんはご存知かもしれませんが、最近は、適性検査クラウド「ミキワメ」というサービスを頑張っています。これは、採用候補者が自社で活躍するかどうか、懸念点は何なのかがひと目でわかるサービスです。
ミキワメは2020年4月に正式にサービスをリリースいたしました。現在1,000社のお客様にご導入いただいており、私が知る限り、HR Techのサービスとして史上最速クラスのグロースを実現できています。
実は、今月からCMを放映することも決まりました。一生懸命作ったので、よければ是非ひと目見てみてください(ちなみに、私の辛かった体験談を元にアイデアを考えています)。
3年で組織状態がV字回復した理由
今年の4月には資金調達を実施し、サービスがグロースしており、CMも放映中、となれば組織の状態も絶好調だと思われるかもしれません。
実は、実際そのとおりでして、リンクアンドモチベーション社が提供する「モチベーションクラウド」でも、当社のエンゲージメントスコア(≒社員のやる気のレベル)が偏差値67となっています。これは、全国の企業の中でTOP2%に入るくらいには、社員のエンゲージメントが高いことを意味しています。
(追記:2022年7月時点で、エンゲージメントスコアの偏差値73、離職率4%と、さらに改善しています)
ただ、昔からそのような状態だったわけではなく、過去のエンゲージメントスコアの推移はこんな感じです。今見てみると、なかなかに苦しい状態ですね。
ちなみに、偏差値47という状態は、リンクアンドモチベーションのコンサルタントによると、「笛吹けど踊らず」という状態だそうです。
会社やチームのトップが方針を示しても、それに従わない者がいる。あるいは、表面的には前向きに見えても、裏側では不満を持っていたり、愚痴をこぼしたりする社員がたくさんいる、ということです。
また、離職率が3割を超えている年が3年も続きました。
これは、3年経ったら、ほとんどの社員が残っていないことを意味します。次々と社員が離れていき、いつも事業の引き継ぎをやっている状態でしたので、正直なところ、通常のビジネス活動を行うこともままならない状態でした。
昨年度は離職率が10%ほどに落ち着いたのですが、昨年度の初めには、コロナで売上のほとんどが消失した時期もありました(現在は、コロナ前よりも好調な業容に回復)。
でも、チームが良い状態だったので、それを理由に辞める社員は一人もいませんでした。むしろ、コロナという敵に負けないように、かえって社員の団結力が高まり、組織の状態は更に良化したような気もします。
では、なぜ万年組織状態が最悪だったリーディングマークが、日本でも上位を争うハイエンゲージメントな企業に進化することができたのでしょうか。
組織を立て直すために、ありとあらゆるチャレンジをしたのですが、組織の立て直しに特に効果があったアクションは、以下の6つだったような気がします。
- スキルは二の次、社風に合う社員だけを採用する
- 社員の個性に合う仕事だけをアサインする
- お互いを称え合い感謝を伝え合う文化を作る
- 主役は社員、社長はほとんど前に出ない
- 何のために事業をやるのか、メンバーが共感できる言葉を創る
- 目先の売上を追い求めず、ミッションにつながらない事業はすべて撤退する
それぞれの点について、簡単にシェアしていきたいと思います。
1、スキルは二の次、社風に合う社員だけを採用する
会社のフェーズがある程度進んでくると、思わぬハイキャリアな方からエントリーをいただけるようになります。
有名企業出身、起業していた方、学歴が華々しい方など。採用面接で出会ったことのないようなハイキャリアな方とお会いすると、どうしても浮足立ってしまうんですね。ただ、これは危険なサインです。
実際、経歴や華やかさに惹かれて採用した方の一部は、性格や考え方が当社に合わず、短期間で会社を去っていきました。
現在では考え方が代わり、性格や考え方が合う方を採用し、教育し、末永くご活躍いただくほうが良いと思うようになりました。むしろ、経歴は華々しくなくても良い。
今では、東大や京大などの有名大学を出て有名企業で活躍された社員がいる一方で、元バンドマン、元声優、元コックさんなど、様々なバックグラウンドのメンバーが活躍する組織になりました。
ちなみに、元バンドマンの方は、最終学歴が高校中退なのですが、現在は開発チームのトップを務めています。
ちなみに当社で性格をどう見極めているかというと、以前は面談で見極めていたのですが、面談では見極めきれないという結論になりまして、現在では適性検査ミキワメと面談の両方の情報を元に、見極めを行っています。
2、社員の個性に合う仕事だけをアサインする
4年ほど前に、創業期に入ってくれたある社員に、会社を辞めたいと相談されたことがありました。今の仕事を続けていても、面白くないし、成長できないと思っている、とのこと。
彼は、営業マネージャーとして、メンバーの育成や営業の数字管理などをやっていたのですが、どう考えても彼に向いた仕事ではありませんでした。
私としては、彼に成長してもらいたいという気持ちで、そのアサインメントを決めていたのですが、よく考えれば、彼がメンバーの育成や営業で成長しなければならない理由はない。むしろ、彼特有の発想力やクリエイティビティを存分に活かしてもらったら良いじゃないか、と思ったのです。
そこで、思い切って彼の異動を決めました。新しい仕事は、新規事業の立案、とりわけプロダクトのUIの設計です。取り組んだことのない業務に、最初は四苦八苦しましたが、そんな彼が企画して立ち上がったのが、適性検査クラウド「ミキワメ」なのです。彼に、得意を活かせる仕事を与えていなかったら、今頃ミキワメは生まれていなかったでしょう。
その経験以来、ある程度の基礎力がついたら、メンバーの強みを発揮できるアサインメントが実現できるように心がけています。それにより、メンバーの生産性が上がり事業成果が改善することはもちろん、エンゲージメント向上の観点でも大きな影響がありました。
ちなみに、誰がどの部署に向いているのかも、適性検査ミキワメで確認をしています。具体的には、本人の性格と、部署で活躍する方の特徴や上司との相性を確認した上で、本人に合った仕事内容を提示。本人の意思も踏まえた上で異動を決定しています。
3、お互いを称え合い感謝を伝え合う文化を作る
組織の状態が悪くなると、メンバーは周囲の仲間のことを信じられなくなります。そうなったときの人の行動は2種類に別れます。
1種類目は、もう気力がなくなってしまい、自分の意見をあまり発信しなくなる方。
2種類目は、自らの正当性や周囲の誤りを声高に主張する方です。
1種類目の方は発信しないわけですから、組織の中は2種類目の方の声で埋め尽くされてしまう。つまり、自らの正当性を訴え、周囲の誤りを主張する声ばかりになってしまうわけです。正直なところ、そのような声を聞いて良い気分になる人はいません。
その雰囲気を打破するために、まずは経営陣から発言の質を変えて、ともかくメンバーを称えよう、感謝を伝えようと決意しました。
最初は、社員を称える声がなかなか社員に届きにくかったのですが、特にUniposの導入は大きかったように思います。
Uniposは、従業員が従業員の隠れた良いところを発見して、褒め称えることができるクラウドシステムです。最近はタクシーCMも行っていますね。
Uniposによって、社員が社員を称える声が拡散されるようになり、組織の雰囲気が変わりました。誰だって、褒められて嬉しくないわけがないし、組織の中に感謝の気持ちがあふれると、組織の空気も、おのずと良い方向に変わります。
4、主役は社員、社長はほとんど前に出ない
以前は、事業や組織の状況を打破しようと、全社員が集まる月例会の場では私が積極的に発言をしていました。が、事業が上手く行っていないことも相まって、私が何を言っても上滑りになり、メンバーの心には届いていない様子でした。
当時、さまざまなスタートアップの顧問を務めていらっしゃる三木寛文さんという方にアドバイスを頂いたのですが、曰く、私や他の経営陣が話し過ぎであると。
そこで、思い切って、私や他の経営陣が前に出ない会を作ったのですが、それが大成功。
メンバーの前で発表を行う社員は、その瞬間に向けて猛烈に準備をするので、まずプレゼンテーションの質が高い。
加えて、メンバーも同じ立場の仲間が頑張っていて、成果を上げているのを見る方が、共感できるし、私も頑張ろうという気持ちになるのですね。
その「私も頑張ろうという」気持ちの輪が、今は組織の隅々まで浸透しつつあると感じており、それが組織状態の良さにも繋がっています。
ちなみに、数年前は、月例会の社員満足度は、5点満点で4.2点前後が多かったです。メンバーに会の主役として話してもらうようにしてからは、大体4.8点を推移しています。
5、何のために事業をやるのか、メンバーが共感できる言葉を創る
これは、大分組織のコンディションが良化してからの話です。メンバーの中から、自分たちが事業で目指すべき方向性や、それを目指すために必要なことを、言葉として具体化しようという動きが出てきました。
既に、当社は「世界の人々の自己を実現したいという欲求に対して、社会の仕組みをDesignすることで、大きく有益なImpactを与えます」というミッションや、それを実現するための行動規範(バリュー)は組織に浸透していました。
しかし、業務をどのように進めれば、ミッションの達成につながるのかが分かりづらいので、新たな言葉を現場で作らせてほしいという話でした。
たとえば、適性検査「ミキワメ」を運用している部署では、メンバーが集まって部署で大事にしたい概念を「スピリッツ」にまとめてくれました。このスピリッツは、
- 全部自分ごと
- お客様の期待を超える
- 敬意を持ってNo忖度
という3つから構成されます。
この3つ、ミキワメの事業と組織の大事なポイントを踏まえていますし、日常会話の中で使えるワードになっているので、なかなか良いのです。
自分たちが大事にしたいことを、自分たちで考え、腹落ちし、言葉にすると、その言葉は言霊になります。言霊には、メンバー一人ひとりを、チーム全体を、強く導く力があります。
6、目先の売上を追い求めず、ミッションにつながらない事業はすべて撤退する
会社が苦しかったときには、少しでも収益を稼がなければと、いろいろな事業に手を出しました。
新卒の採用支援ができるから、中途の人材紹介もできるだろうと思って事業化したり。動画メディアだ、SEOメディアだ、なんだかんだとやりましたが、結局一つもうまくいきませんでした。
上手く行かなかった理由はたくさん説明できるのですが、一番大事なのは、ミッションにつながる事業ではなかったことだと思っています。
儲かりそう、チャンスがありそう、などと中途半端な気持ちで事業をスタートしてしまった。だから、メンバーも自分も命がけでチャレンジすることができなかったのです。今は、中途半端な事業は全部辞めてしまいました。
ミキワメは、人の性格や才能を明らかにし、そしてその人に合ったキャリアをおすすめできるサービスです。私たちは、これを学歴や職歴に変わる世の中の尺度にしていきたいと思っています。
ミキワメの採用おすすめ度が高い人は、そうでない人と比べて、活躍する可能性が4倍以上高いことも分かっている。ミキワメは良いサービスであり、どんな企業も絶対にミキワメを導入したほうが良いです。また、ミキワメによってミッションで掲げる一人ひとりの自己実現も大いに推進されると確信できます。
これは、私だけではなく、メンバー全員が思っていることです。今後も、こういう心から誇りを感じられる事業、命がけで取り組める事業以外は展開しないつもりです。
最後に
随分と長文になってしまいましたが、最後までご一読いただきありがとうございました。
組織が蘇生した理由はいくつもあるのですが、やはり大きかったのは、自分たちの会社で大事にするべきことを改めて確認し、それに共感し、やりとげられる、当社の社風に合うメンバーが集まり、一生懸命に取り組んだことだと思っています。非常に単純なのですが、簡単なことではありません。
言うまでもなく、私たちの、ミキワメの冒険はこれからが本番です。ミッションを胸に、最高の仲間と最高の事業を創れるように、これからも歩んでいきます。
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